欧州で銀行詐欺が流行っている。
この物価高の中、
「リスクを冒さず、少しでも高い利子を!」
という消費者の心理をうまく利用したトリックだ。
皆さんが被害者にならないように、その手口を紹介しておきます。
この記事の目次
貯蓄口座からTagesgeldkonto
ドイツ人はケチで有名。
無駄使いを、
「悪魔が聖水を嫌う」
ように嫌う。
そんなドイツ人の心をがっしり掴んでいたのが
“Sparbuch”(貯蓄口座)
だ。
余裕があるときにお金を払い込めば、1年以上預けている残高に5%の利子が付いた。
これを銀行に行って記帳するのが、ドイツ人の心の喜びだった。
しかし長年のゼロ金利でその喜びは消滅。
今、かっての貯蓄口座にとって代わったのは
“Tagesgeldkonto”
だ。
Tagesgeldkonto とは
ドイツで口座を開設すると、
「嫌」
と言ってもついてくるのが
- Tagesgeldkonto(普通口座)
- Festgeldkonto(定期預金口座)
です。
“Tagesgeldkonto”
は他にも
“Girokonto”(ジロー口座)、あるいは”Gehaltskonto”(給料口座)などの、いろんな呼び方がある。
名前は違っても機能は同じ。
利子が(ほとんど)ない代わりに、日々、自由にお金を出し入れできる口座だ。
日本の普通口座に相当。
ところがである。
インフレ対策で金利が上昇すると、この普通口座に高い利子を提供する銀行が出てきた。
銀行にしてみれば、消費者から預金を集めて米国の国債を買えば、
5%を超えるリターンがある。
勿論、
「利益となる差額」
は微々たるものだが、
「塵も積もればマウンテン」
でリスクがない。
これが目的で、春先のタケノコのように高金利を提供する銀行が次々に出現中だ。
利子はどのくらい?
と聞けば、
「利子はなんぼ?」
と聞くたくなるのは、ドイツ人だけじゃない筈だ。
ここに利率が高い銀行一覧がある。
なんと
“bunq”
という名前を聞いたことのない銀行は、4.02%もの金利を普通口座に払うという。
ちなみに私のメインバンク、三菱UFJの普通口座の利息は0.02%。
この銀行なら日本の銀行の200倍もの利子が付く!
だから日本の口座にお金を置いておくのはバカバカしい。
ドイツ留学中の方、ドイツで開設した口座はそのままにしておき、
「日本からでも使えるの?」
と銀行に相談してから帰国しましょう。
安全なの?
ドイツの安売りスーパーがよくやる手法は、
「たったの1ユーロ!」
として食品を安く提供して客を呼び込む方法。
勿論、赤字だ。
なので提供する品数は少ない。
あまりに少ないとあからさまな
“Lockangebot”(撒き餌商品)
として違法な手法になるので、要注意。
高金利の普通口座もこれによく似ている。
高い金利(撒き餌)で客を呼び寄せると、
「やられた~。」
と後悔する罠が待っている事が多い。
だからせめて2番目の銀行を選ぶつのがコツ。
一番利子が高い銀行、一番価格が安い店には、ほぼ必ず落とし穴がある。
“bunq”とは?
では”bunq”という銀行はどうなのだろう。
「ブンク」
という名前もいかにも怪しいが、、
銀行はオランダ籍。
道理でおかしな名前なわけだ。
2012年に設立された
「フィンテック」
だ。
「住んでいる国と国籍に関係なく、口座を提供する。」
がモットー。
業績は順調に伸びているが、赤字経営。
う~ん、やっぱりちょっと心配。
欧州の銀行は基本、
”Einlagesicherung”(預金保障)
がある。
10万ユーロ(1650万円)までの預金なら、国(正確には銀行組合)が補填してくれる。
問題はここから。
補填してくれるとは知っていても、やっぱり心配なことには変わりない。
おまけに補償は自分で、しかもオランダで挙げる必要がある。
これをできる人がどれだけいるだろう。
オランダ語は読めないし~。
そこで
「桜散る!」
となった際、ドイツで補填請求を上げれる銀行に絞れば、こう。
あまり欲を出さないで、このくらいの利子で
「妥協」
しておいたほうがいいと思います。
銀行詐欺 リスクなしで高金利ゲット?
ところがである。
経験のない若者、あるいは欲を出しすぎた高齢者は
「最高の利子」
を追求する。
そんな人を
「待ってました!」
と待っているのが銀行詐欺の方々だ。
銀行詐欺 その方法は?
「利子が高い銀行口座」
でぐぐると、詐欺サイトがヒットします。
これがよく出来ているので素人には詐欺とは見えない。
ところがである。
冷静に考えれば上述の例が示すように、
「リスクを冒しても、利子は最高4%まで」
なのがわかります。
なのに詐欺サイトでは5%、あるいはこれを超える利子をお約束。
詐欺ですからね。
言うは安し。
「これは凄い!」
「すぐに口座を開設しよう!」
というボタンを押すと、
「口座開設のために、あなたのパスポートのコピーが必要です。」
という返事がきます。
そこでコピーを送ると本当に開設してくれるんです。
「あとはお金を送金するだけ!」
というわけです。
早速、貯金を外国の口座に送金すると
「ありがとう。」
と詐欺師が現金を自分の別の口座に送金して
“Auf Wiedersehen!”(さようなら!)
です。
あるいは詐欺師もアクセスできるように、共同口座を取得していたんです。
何故、騙される?
とりわけ若者などは友達からの
「用心しなよ!」
というアドバイスを、
「大丈夫って書いているよ!」
という言葉で無視。
そもそも詐欺師は、
「これは詐欺です。」
とは書かかず
「100%安全です。」
と書くんです!
一方、高齢者は欲が張り過ぎて、リスクが見えない。
いや、見ないといったほうが正解か。
銀行詐欺は投資詐欺と一緒です。
鴨葱です。
銀行詐欺も自分で口座開設しないで他人に任せる人は鴨葱です。
この
「他人に任せてお金を稼ごう!」
という考えが、詐欺師に付け入るスキを与えます。