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Adler Group 粉飾決算疑惑 第二のワイヤーカードか?

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Adler Group 粉飾決算疑惑 第二のワイヤーカードか?

1990年代、日本はバブル経済のど真ん中。

不動産会社が所有者から買ったばかりの土地を開発業者に横渡しするだけで

「価格が2倍、3倍は当たり前!」

という非常識が日常茶飯事。

それに

「少しだけ近い」

ドイツの不動産ブーム。

日本同様に、

「濡れて泡」

で大儲けをしていたのが、”Adler Group”だ。

今や、

「第二のワイヤーカードか?」

と言われている。

Adler Groupとは?


“vorneweg”(冒頭から話が逸れますが)

ちょっと頭の働く詐欺師なら、自分の本名は隠します。

捕まりたくないですからね!

日本の事業復活給付金詐欺のように、自分の銀行口座で詐欺を働く詐欺師の気が知れない。

その点、”Adler Group”(以下アードラーグループと略。)は秘密工作に怠りがない。

アードラーグループはドイツの会社ながら、本社がルクセンブルク。

なんで?

何か隠し事がありそうですね~。

参照 : Adler Group

 

本業は不動産業。

とにかく会社の構造が複雑。

ドイツの公共放送が説明してくれているが、それでもわかり難い。

奇怪なのは会社の中で

「でかい顔」

をしているオーストリア人、Cevdet Caner氏の存在だ。

Cevdet Caner氏の役割

Cevdet Caner氏はオーストリア人の投資家。

彼自身はアードラーグループの社員でも、役員でもないのに実に大きな影響力を行使していた。

ただ彼の奥さんは、アードラーグループの筆頭株主だ。

アードラーグループはそのCevdet Caner氏に毎年、

「コンサルテング料」

として大金を払っていた。

何のコンサルテング料なのか不明だが、誰も文句を言う者はいなかった。

それどころかCaner氏のお陰でアードラーグループの業績は、ドイツの空前の不動産ブームも手伝って、うなぎのぼり。

雪だるま式に増えていく会社の資産・業績・株価に株主は大満足。

文句を言う者は一人もいなかった。

Fraser Perring氏がやってくるまでは。

Adler Group 粉飾決算疑惑

Fraser Perring氏はイギリス人の投資家。

それも”Short Seller”と呼ばれる

「特殊」

な投資家だ。

その中でもとりわけ

「悪名高い」

のがFraser Perring氏。

質問
なんで悪名高いの?

 

普通の”Short Seller”は銀行から株を借りて売却、株価の暴落を誘発して儲ける。

Fraser Perring氏は、

「この会社の決算は粉飾決算だ!」

と特定の会社を攻撃、その会社の信用を失墜させて株価の暴落を誘発して儲ける。

困ったのは、氏の主張は(たまに)真実である事。

ワイヤーカード粉飾決済事件は、

ドイツ経済史に残る最大の組織的犯罪事件として知られる。

そのワイヤーカードの悪事を一番先に指摘したのは、Perring氏だった。

これが真実だった為、

「ワイヤーカードの悪事を暴露した人」

として名を挙げた。

そのPerring氏が、

「アードラーグループの決算報告は出鱈目だ!」

と主張すると、同社の株価は奈落の底に落下した。

非難の中身

非難の中身

Perring氏の非難の中身はこうだ。

Caner氏はアドラーグループの不動産を、氏の親戚の投資家に売却させる。

その後、アドラーグループが同じ不動産を10倍の価格で買い戻す。

これにより会社の資産価値が増し、業績アップとなる。

この取引を考案したCaner氏には

「コンサルテング料」

として、大金がコンサルト料金として支払われる。

要するにアードラーグループは、Caner氏の

「土地ころがし」

の隠れ蓑であるという非難だ。

その典型がベルリンにある高層建築現場。

一向に工事が進捗せず、中国の建築廃墟物件の様相を呈している。

が、その価値だけは上昇している。

Perring氏が

「アードラーグループの実際の資産価値は、評価額よりはるかに低い。騙されるな!」

とこの廃墟ビルを証拠に挙げると、その主張には信用性があった。

KPMG 決算報告書へのサインを拒否

勿論、アードラーグループは疑惑を頭から否定した。

会社の決算報告が正しい事を証明するために、有名な会計会社KPMGに2021年の決算の審査を頼んだ。

ところがである。

KPMGの会計士が、

「ここの所は、、。」

と社員に尋ねようとすると、社員への質問を会社側がブロック。

何かを隠しているとしか思えない行動を示した。

その行動は、ワイヤーカードの振る舞いと全く同じ。

奇しくもそのワイヤーカードの決算の監査を頼まれたのがKPMG。

KPMGは、

「ヤバイぞ!」

とアードラーグループの決算報告書へのサインを拒否すると、同社の株はさらに奈落の底に沈んだ。

(今更)Bafinの登場

上場企業や銀行の業務を監査するのが、金融庁の監督機関”Bafin.”

ワイヤーカードは銀行の免許も持っていたので、モロに”Bafin”の監督下にあった。

ところが”Bafin”に籍を置く公務員は、

「一儲けのチャンス!」

と、内部情報を利用してワイヤーカードの株に賭けていた。

ワイヤーカード倒産後、”Bafin”のトップは、

「何も改善すべきところは見つからない。」

と身の潔白を主張したが、左遷された。

新しいトップが任命されて、権限も広げられ、人員も大幅アップ!

なのに悪名高いショートセラーが非難をするまで、🙊🙈🙉だった。

Perring氏の暴露から1年以上経った2022年11月17日、

「2019年の決算報告に間違いがある。」

と指摘したのが、愚の骨頂だろう。

アードラーグループ延命措置

アードラーグループはKPMGからサインをもらえなかった2021年の決算で、12億ユーロの赤字を計上した。

 

(全く信用できないが)前年が1億9100万ユーロの黒字だったので、約10倍の赤字額となった。

借金額は75億ユーロ。

とても払える額面ではない。

そこでアードラーグループは延命措置として、会社が本当に所有している不動産を競合他社に売却することにした。

それには特別株主会議を開いて議題を可決、それから正式に売りに出して、、と、とっても時間がかかる。

その一方で75億ユーロの借金の利子払いに加えて、日々の支払いもある。

もし債務への利払いが滞ると、即倒産。

これを避けるため、借金主に

「返済期限の猶予」

をお願いした。

「断ったら全損しかない。」

という状況なので、借金主はこれに同意するしかない。

すると

「ペニーストック」

になっていた株価は大爆発した。

私も投資して一儲けしたい!

急激な株価の上昇を見て、

「私も投資して一儲けしたい!」

と思ったアナタ。

そう、あなたです。

やめときなさい。

もう2022年が終わるのに2021年の決算報告、どの会計会社も

「10メートル先の杖でも触りたくない。」

と監査が終わってない。

どんな爆弾が隠れているか、わかったもんじゃない。

ワイヤーカードだって最後は倒産。

ワイヤーカードの株主は倒産した会社の残存資産からの賠償を要求するも、

「株主には賠償を要求する権利はない。」

と裁判所の判決。

多くの素人投資家の人生の夢が潰えました。

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執筆者:

nishi

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