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コロナワクチン接種義務 ドイツでも導入される?

投稿日:2021年7月20日 更新日:

コロナワクチン接種義務 ドイツでも導入される?

一度は人類の英知で、抑え込みに成功するかに見えた新型コロナウイルス。

しかしそこは地球上でもっとも古い生命体(のひとつ)、次々と新たな変異体を生み出している。

まだ人類の英知(コロナワクチン)が優ってはいるが、ウイルスと戦う上で民主主義社会は決定的な弱点。

折角、命を救うワクチンがあるのに、これを接種することを拒否する市民がいる。

なのに日本やドイツ政府は、

「コロナワクチンの接種は義務ではない。」

と民主主義を旗に書いて、しかも何処か誇らしげだ。

一方でデルタ株は猛烈な感染力で蔓延、ワクチン接種が遅れたインドネシアでは国民が

「バタバタ」

と死んでいる。

マレーシアやタイなどが、同じ状況になるのは時間の問題。

日本やドイツはこんな生半可な態度で、コロナウイルスに勝てるのだろうか。

危機への対応

人類を襲った危機は、何も新型コロナウイルスが初めてではない。

これまで数え切れないほどの危機が、人類を襲ってきた。

その危機への対応を見れば、今回の危機への対応はどうすえばいいのか、そのヒントが見えてくる。

真珠湾攻撃

1941年12月、日本帝国海軍はハワイの真珠湾に奇襲攻撃をかけた。

日本軍の攻撃にさらされた米空軍基地では兵士は武器庫に走り、弾薬を取り出そうとした。

すると弾薬庫の責任者は、

「当直の士官のサインがいる。」

と、弾薬の引き渡しを断った。

凡庸な人間には

「臨機応変」

などは

「諸悪の根源」

で、日本軍が目の前で攻撃しているのに、平時の規則から抜け出せない。

自衛隊の災害派遣

日本で集中豪雨で洪水が発生、自治体は自衛隊に災害派遣を要求するも、

「所定の用紙に記入してFAXしてくれないと、災害派遣はできない。」

と断るのが日本の官庁。

生死がかかっているのに、呑気に所定の用紙を探して、これを記入する。

漢字だけだと、

「書類の不備」

になるので、毎回、カタカナでも書く必要がある。

漢字にカタカタで読み方が書かれていないと、目の前で災害が起きているのに出動できないのは、世界でも日本だけ。

まさに形に拘る日本人のおくゆかしさ。

ハンブルク洪水

1962年、ハンブルクで洪水が発生した。

市議会議員のシュミット氏は、ドイツ軍、米軍、それに英国空軍に救助出動の要請を電話で行った。

本来であれば市長が国防大臣に要請をだし、国防大臣が命令を下達するものだが、すべてすっとばした。

出動を依頼された軍も、

「命令系統が違う。」

なんぞ言わず、シュミット氏の言葉を信頼して直ちに出動した。

洪水により300名を超える市民が命を失ったが、この果断により数百の生命が救われた(*1)。

生ワクチン輸入

1960年代、日本では小児麻痺が大流行した。

当時、日本政府は

「国産ワクチン」

の開発に舵をきったため、欧米ではほとんど発生しない小児麻痺が大流行するという結果を招いた。

当時の厚生労働大臣は、国交のないソビエトから小児麻痺を予防する

「生ワクチンの輸入」

を法的手順を無視して決断した。

大臣の果敢な割断が、多くの日本国民を小児麻痺の悪夢から救った。

イタリア コロナワクチン接種義務

過去の危機への対応令を見ればわかる通り、危機対策のNo.1は臨機応変な対応だ。

その一方で危機をさらに悪化させるのが形式・官僚主義だ。

ちょうど危機が起きたとき、

「法的な根拠がない。」

などと言う反対を押し切って、大胆な決定を下す政治家が要職に就いているかどうか、これがその国の運命を左右する。

今回の新型コロナウイルスでも、

「日本人で臨床実験をしないと使用許可を出さない。」

「コロナワクチン接種義務は、民主主義と相入れない。」

などと悠長な事を言っているのは、弾薬の明け渡しを拒否する米軍の曹長と何も変わらない。

欧州で一番臨機応変な対応をするのは、ラテン国家である。

その中でもイタリアは群を抜いている(*2)。

度々大地震に襲われるこの国では、

「災害派遣要請書に記入してFAXしてください。」

などとは言わない。

あのお堅い官庁が電話だけで、

「よしわかった!まかせておけ!」

と即応するから素晴らしい。

そして今回、デルタ株の蔓延で真っ先にコロナワクチン接種義務を導入したのもイタリアだった。

コロナワクチン接種義務と言っても、赤子から100歳の老人まで義務化されるわけでない。

イタリアでは医療関係従事者、薬局従業員だけが対象となる。

フランス ギリシャでも義務化

7月中旬になって、フランスとギリシャでもコロナワクチン接種義務を導入した。

フランスでは医療 & 介護職従事者は9月までに2回の接種を済ませないと、仕事に就けなくなる。

お給料も払われないので、事実上の解雇。

そればかりか屋内での施設を利用する際は、毎回、

  • 陰性PCRテスト結果
  • ワクチン接種パス

の提示が義務化される。

コロナワクチン接種が義務化されると報道した翌日から、

「毎回、カフェに行くためにPCRテストを受けるのはたまらん。」

と怠慢からワクチン接種をしようとしなかった若者がワクチン接種センターに殺到している。

まさにこれが義務化で生み出す相乗効果だ。

「コロナウイルスは、国が国民に毒を打つための口実。」

と信じている人間には、何を言っても無駄。

馬の耳に啓蒙なんど届くわけがない。

大事なのは

「(反対でもないけど)接種の決心のついていない層」

をワクチン接種に向ける事。

大多数の国民の命・健康を守るためならば、民主主義の一時的な制限も許される。

勿論、フランスは民主主義国家なので、国の強制に対する反対は大きい。

にもかかわず落ち目のマコン大統領は、わざわざ人気を落とす決断を下した(*3)。

ドイツの態度

イタリア、フランス、ギリシャでコロナワクチン接種義務化が導入されると、

「ドイツでも義務化されるか?」

と思われたがメルケル首相はすぐに、

「ドイツではコロナワクチン接種義務化はない。」

と声明を出した。

これは

「ドイツ病」

と呼ばれるもの。

過去の苦い経験から、ドイツの政治家は民主主義の精神に背く方針を毛嫌いする(*4)。

もっとも首相のこの反応をあまり、真面目に取らない方がいい。

4年前の総選挙では、

「高速道路の有料化はない。」

と断言したのに、選挙後、導入に賛成した(*5)。

ユーロ危機では、

「ギリシャは財政支援は必要ない。」

と請け負ったが、結局は三度も財政支援を行った。

12年前には、

「付加価値税は18%に上げる。」

と言っていたが、実際には19%に引き上げられた。

これまでメルケル首相が国民についた嘘を数え挙げれば、キリがない。

だから首相の言葉は信用しないほうがいい。

コロナワクチン接種義務 に変わる対策

呑気なドイツの政治家は、

「コロナワクチン接種を推奨するコマーシャルを流せばいい。」

と言っている。

米国を見ればいい。

ワクチン接種宝くじまでやっているが、一向に接種率が上がらない。

仏頂面の政治家がコマーシャルでワクチン接種を訴えても、効果はない(*6)。

それなら人気のユーチューバーに金を払って、キャンペーンビデヲを流してもらった方がまだマシだ。

さらにメルケル首相は9月には政界から引退する。

その頃には(何もしなければ)日々のコロナ感染者数は、2万人近い数字になっているだろう。

その時点でも新しい首相が、

「コロナワクチンの接種義務化はない。」

と言えるかどうか、大いに見ものだ。

10月から医療従事者、介護施設従事者、それに教育従事者に対してコロナワクチンの接種が義務する可能性は大いにある。

だったらイタリア、フランス、ギリシャを模倣して8月にさっさと導入していれば、数百の国民の生命が救われただろう(*7)。

編集後記

この記事を書いた後、病院が次々に

「コロナワクチン接種義務」

を導入している。

病院側は裁判闘争を予想して

「コロナワクチン接種義務」

とは呼んでいない。

が結果は同じ。

ワクチン接種を拒否する300人ものスタッフは、

「患者への配慮が欠けている。」

事を理由に、勤務上の制限を導入した。

参照 : swr.de

スイスは

「ワクチン接種を済ませた人材のみ就職できる。」

と条件を課した。

オーストリでもまずはウイーンで同様の制限と導入、さらには幼稚園で働く者へのワクチン接種義務を導入した。

ドイツや日本では、政治が及び腰で大胆な政策決定ができない。

しかしデルタ株の蔓延により早急な対応を迫られている病院は、

「そんな悠長な事を言っている事態ではない。」

と、政治に先行している。

注釈

*1      シュミット氏は第二次大戦中、空軍士官であった。東部戦線にて地上戦でも戦った経験があり、危機への対応能力は抜群だった。

*2       そもそもムッソリーニがローマ進軍をして政権に就くなど、全く法廷な根拠がない。

*3      経済優先の大統領だけに、フランス経済を再度ロックダウンで止める事を阻止したかったのかもしれない。

理由は何処にあれ、選挙の1年前に国民に嫌われる政策を決断、実施できる政治家は少ない。

*4     9月に行われる総選挙も政府の煮え切らない態度の要因のひとつ。

*5  

*6     日本政府が作成、流しているコロナ規制への賛同を促すコマーシャルみたいなもの。説得力はない。

*7    ドイツ有名な政治家は、「政治家の躊躇により数千・数万の命が失われた例は、快挙に暇がない。」と言っている。

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執筆者:

nishi

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