ドイツではコロナ第二波によるロックダウン中に、コロナ第三派が始まった。
一時7000台まで下がった新規感染者数は1万6000台を超えて、今、この時点でも急激に増加している。
メルケル首相はシャットダウンを要求しているが、州政府はこれを無視、段階的なロックダウンの解除を進めている。
その州知事がロックダウンの解除の理由として異口同音に主張しているのが、
「テュービンゲン モデル」
だ。
今回このテュービンゲン モデルについて紹介したい。
この記事の目次
テュービンゲン モデル の始まり
テュービンゲンはバーデン ヴュルテンベルク州にある有名な大学町。(*1)
美しい旧市街が有名で、観光客も多い。
しかしコロナ禍で、旧市街の商店は休業を余儀なくされた。
市長のパルマー氏はこうした商店からの陳情を聞き、政府の感染対策を批判、
「ロックダウンで救っているのは、どのみち半年後には亡くなっている人命だけ。」
と言い、大炎上した。
幾ら非難されても、市長は、
「(永遠に続く)ロックダウンだけが感染対策じゃない。」
という意見を変えなかった。そのパルマー市長が考えたしたのが、
「コロナテストで陰性だった者に1日チケットを発行して、小売店での買い物や、飲食店での飲食を可能にする。」
というプラン、テュービンゲン モデルだ。
このプランは試験的に3月16日からオスターン(復活祭)まで行い、その結果を検証することになった。
即席コロナテスト
このプラン鍵は、コロナテスト。
日本のようにコロナ禍発生から1年経っても、十分な数のテストが行われない国では、どだい無理な話。
しかしすでに(日本を除く世界)市場には、10~15分で結果がわかるコロナ即席テストが出回っている。
この即席コロナテストを受けれる会場を、テュービンゲン市内に設け住民 & 観光客に実施する。(*2)
テスト結果が陰性であれば、その場で
“Tagesticket” / 一日チケット
が発効されて、市内で自由に行動ができるようになる。
テュービンゲン モデル ドイツコロナ禍の金字塔?
テュービンゲン モデルが実施される前、感染学の専門家は
「テュービンゲン市内の感染者数は増加するだろう。」
と、予言した。
予言された通り、テュービンゲン市内でのコロナ新規感染者数は急激に増加した。
批判家は、
「テュービンゲン モデルは失敗した。」
と勝ち誇った。(*3)
しかしコロナ第三派のど真ん中で、新規感染者数が増加していない自治体はない。
小売店や飲食店での営業を再開したにも関わらず、テュービンゲン市内の感染率は州の平均よりも低く、飲食店の営業を禁止している自治体よりも感染率は低かった。
ワクチン確保 & 接種、即席テストの導入、コロナ政策で失敗続きのドイツで、
「テュービンゲン モデルはドイツの模範だ。」
と、国粋主義的な気持からか、賛同する人も少なくない。
この結果に気をよくしたパルマー市長は、試験期間を4月18日まで延長した。(*5)
ザールランド州のモデルプロジェクト
小売業からの陳情に頭を悩ましてる自治体にとって、テュービンゲン モデルはコロナ禍の金字塔だった。
さまざまな自治体が、テュービンゲン モデルをコピーして導入した。
その中でも一番注目されているのが、ドイツで一番小さなザールランド州(*4)で4月6日から実地されるコロナ モデルプロジェクトだ。
陰性のコロナテストの所有者は、飲食店や小売店だけではなく、映画館、博物館、コンサート、フィットネススタジオ、劇場など、ほぼすべての施設を利用できる。
すでに第三派の影響で感染者数が増加している中での、この無謀とも思える モデルプロジェクト。
とは言え、このモデルプロジェクトは、飲食店や小売業者を救うための、
「感染者数が人口10万人あたり100人以下の場合の新しいコロナ対策の確立」
が主眼。
もうひとつの可能性は永遠に続くロックダウン。
指を咥えて倒産を待つか、今、まさに実施する必要があった。
万が一ある程度の成功を収めることに成功すれば、今後、コロナ禍での新しいコロナ対策として確立するかもしれない。
注釈
*1 ドイツでは有名ですが、日本のメデイアでは「秘境」と報道されていました。アマゾンのジャングルじゃあるまいし、、。
*2 即席コロナテストは無料です。
*3 パルマー市長は、「若者のパーティーがコロナの感染を広げている。」など、思った通りの発言をするので、左翼から嫌われており、敵が多い。
*4 ハンブルクやベルリンのように、街で州を形成している州を除きます。
*5 一時は、「ドイツコロナ禍の金字塔!」ともてはやされたテュービンゲン モデルだが、オスターン(復活祭)後、感染者数が急増、州の平均と同じか、これを上回る新規感染者数を記録。
現在では「テュービンゲン モデルは失敗した。」という見方が主流だ。