お買い物 ドイツの達人になる

滅茶安い!ドイツ式 車の売買方法の利点とリスク

投稿日:2013年6月13日 更新日:

滅茶安い!ドイツ式 車の売買方法の利点とリスク

ドイツでの生活が安定すると、欲しくなるのが車。

ドイツと言えば、アウデイ、メルセデス、ポルシェ、BMWなど高級車の原産国。(もっとも部品の多くは海外で生産。)ドイツに居る間にドイツの車を運転しないで、一体、いつできるだろう。

そこで奮発してドイツ車を買うわけだが、購入方法が日本と異なります。ドイツではデイーラーを通さない中古車売買が、主流なんです。でも詐欺も多いのが、この中古車の売買。

詐欺、トリックを知っている日本人は皆無なので、ここでドイツ式車の購入方法を紹介しておきます。

新車を購入するなら、、。

やっぱり新車は高い。

デイーラーは「利息0%」という言葉で釣っているが、ここでも「ただより高いものはなし。」という日本の言葉は正解。中級クラスの車なら(折からの不況も手伝って)交渉次第で10~20%も割引してくれる

高級車でも10%程度の割引は可能。

すなわち今の安い金利を利用して銀行ローンを組み、「現金」で購入すれば、金利以上の割引が手中に出来て、結局は安く上がる。

これは車に限らず、コンピューター、洗濯機でも同じ。金利ゼロのローン返済よりも、ローンを組んで現金購入、割引をゲットしたほうが結局は安くあがる。

新車購入の欠点

「じゃ、BMWの新車を買おう。」と本当にローンを組んで、Z4を買ったとする。

何かの理由、失業、病気などでローンの支払いがしんどくなる。

「まだ新しい車だから、売ればローンは返済できる。」

と思ってBMWの支店に行くと、購入から1年経っていないのに、新車の値段から1万ユーロ以上も安い値段しかつかない。結果、車はないのに、ローンだけ残ってしまう。

ドイツでは、「ナンバープレートを貰う為に交通局に行っただけで、車の価値は数千ユーロ低くなる。」と言われるほど、新車の減価償却は激しい。

特に最初の1~2年でかなり急激な減価償却をするので、ドイツ人は「割に合わない。」と、中古車を選ぶ人がとても多い。

ドイツ式 中古車の売買方法 お買い時は?

そんな人に人気なのが、減価カーブの安定する登録2~3年程度中古車。

新車より2~3万ユーロも安いのに、見栄えがよく、故障が少ないので、お買い時。減価カーブが気にならない予算のある人は、さらに新しい”Jaheswagen”という中古車を買う。これは正規デイーラーなどが社用車として1~2年使用して、中古で売り出すもの。

ドイツの車は丈夫なので、事故で廃車にならない限り20年も使用される。だから10年使用の車でも、それなりの立派な値が付いて売れてしまう。この辺のクラスの車は、学生や初任給をもらったばかりの新社会人に人気。ただ10年以上の車は、修理の頻度が高くなる事をお忘れなく。

フォォルクスヴァーゲンやオペルなら部品も安いが、BMWやメルセデス、アウデイの部品はべらぼうに高い。以前、車検でメルセデスのサスペンションからの油漏れをチェックされた。車検はそれでも通ったが、修理に出すと、サスペンション、一本が800ユーロ!と言われた。

なんでも空気弾圧式の、特別なサスペンションだという。特別かもしれないが、製造から5年、たったの5万キロしか持たない欠陥部品。

ドイツでは、「車を修理に出すと初めて、どんな車に乗っていたかわかる。」という。高級車の修理代は半端ないので、自分で修理できない方は、10年落ちの高級車は避けた方がいい。

人気の中古車詐欺

車を売る人は、できるだけ高く売ろうとするのは自明の理。中古車の値段を大きく左右するのは、初回登録の年、装備、それに走行距離の3要素

登録の年、車の装備は変更する事ができないが、車の走行距離は結構簡単に操作できてしまう。そこで車を高く売りたい人は、走行距離を操作する。

走行距離操作 / Tachojustierung

新聞などに、”Tachojustierung”(走行距離操作いたします。)という宣伝が頻繁に出ているので、個人でも走行距離の操作が可能だ。

個人は言うまでもなく、中古車センターでも走行距離が操作されていることが多い。ドイツ人はイタリアやスペインまで車で休暇に行く。トルコ人は車でトルコまで走破するので、10万kmなんかすぐに突破してしまう。

ただし10万kmを超えると、修理、交換する部品が増えてくるので、いい値段が付かない。そこでこうした走行距離の「調整屋」が登場する事になる。

言うまでもないが、走行距離の操作は禁止されている。もっともこの法律には穴があり、車を販売する前に、車の価値を上げる為に操作するのは禁止されているが、その他の目的で操作するのは認められている。

合法な走行距離操作

「その他の目的って、一体何なの。」という方もおられるに違いない。例えば、奥さんと車を共用しているとする。

浮気のチェックに厳しい奥さんだと、会社までの走行距離を熟知、走行距離をチェックしている。急に30kmも増えていたら、「あなた、一体何処へ行っていたの。」と詰問される事になる。

本当に浮気していたか、していないかは、この際二の次。こうした「個人的な問題」を解決する為に、走行距離を調整するのは営利目的の詐欺でなないので、許されている。この法律の抜け穴を利用して、「個人的な問題」を解決してくれる調整屋さんが実に多い。

メルセデスやBMWの正規代理店で購入した車でも、操作された車が見つかっている。中古市場で売られている中古車の過半数は「調整済み」と見ておいたほうがよい。しかし意外と簡単に走行距離の操作は発見できる。実際には10万キロも走っている車は、あちこち「擦り切れ」ている。

ペダルからシート、ハンドル、ボタンの頭部分、かなりすり減って、変色している。ドイツ車は日本車より丈夫に作っているので5万キロまでは、大きな消耗がない。私が乗っていた車は5万キロ走っても、皮シートは皺ひとつなく、新品同様。

しかしこれが10万キロになると、あちこちにへたりが見つかる。試乗に行ったら、走行距離に適当な社内の具合か、冷静な目で細部を確認しよう。

詐欺を見分ける方法

こうした背景があり、ドイツで中古車を探すと“Scheckheftgepflegt”(整備手帳びっちり記載済)と書かれていることが多い。

これは車の整備手帳に、「いつ整備を受けたか、抜けなく記入されています。」というもの。手帳に整備の日付と走行距離がボールペンで記入されているので、変更することはできない。だからこれが走行距離の調整をしていない証拠となる。

もっともインターネットで販売されている車の半数以上が”Scheckheftgepflegt”と書かれているので、明らかに幾つか詐欺がある。

しかし、これも結構、簡単に見分けが付く。「整備手帳がなくなったので、新しく購入した。」と言い、同じ整備工場のスタンプが押されている手帳は怪しい。スタンプの色まで同じなら、明きからに同一時期に押したものだ。

中には、「整備手帳が水に濡れちゃって。」と解読不可能な手帳を用意している場合もある。

そのようなケースでは、「車を見せてくれてありがとう。奥さんと相談して連絡します。」と言って、その場を去るのが懸命だ。奥さんがいない方でもこの台詞は使えるので、是非、利用していただきたい。

滅茶安い!ドイツ式 車の売買方法の利点とリスク – 利点

日本では車は新車でも中古車でも、デイーラーから買うものと相場が決まっている。ドイツでは中古車の売買は、個人間で行うのが一般的だ。何故だか、わかるだろうか。その方が圧倒的に安いからだ。

日本ではデイーラーがナンバープレートを取得してくれるが、ただでやってくれるわけではない。ナンバープレートを付けるだけで5万円も取る。お陰で車を買うと、デイーラーは手数料を30万円も取る。こんなおいしい販売システムは日本だけ。ドイツではコレ、全部、自分でします。

その方法は超~簡単。車を買ったら、中古車でも新車でも、車の書類+車検証をもって交通局に。ここで書類を出すと、あなたの名義に書き換えられた書類を発行してくれる。

あとはもらった番号表でナンバープレートを作成してもらうい、ナンバープレートに「車検シール」を貼ってもらう。あとは買った車にナンバープレートつけるだけ。

自分でしなきゃいけないの?

はい、そうです。ドイツでは自分でやるものです。これで日本で払っている30万円を節約できるのだから、半日潰す甲斐はある。

どっちが安い?デイーラー?それとも個人売買?

いう間でもなく、個人売買のほうが圧倒的に安いです。業者は消費税の19%を上乗せして販売するので、個人間で購入するよりもほぼ2割も高い。逆に言えば業者に車を売ると2割以上、安く買いたたかれるということになる。

2割以上?どうして?19%じゃないの?

それはデイーラーは中古車でも、1年間保障を付けることが義務付けられているかだら。

もし故障が起きたら、1年以内の故障はデイーラーが無償で修理しなくてはならない。だからこの費用も販売価格に上乗せされている。逆に言えば、購入の際はこの故障の際の修理費用を払っても、儲けが出るように買値を叩く必要がある。

中古車はどうやって探すの?

ドイツでは中古車は、インターネットで探すのもの。デイーラーもインターネットに乗せているので、ネットをチェックすれば個人の中古車から、業者の中古車まで探せます。大手の中古車販売サイトは2つだけ。ここをチェックすれば、ドイツ中で売られている、ほとんどの中古車を閲覧できる。

価格表示

中古車を探す場合の最も大事なドイツ語は3つ。

ひとつは上述の Scheckheftgepflegt / 整備手帳びっちり記載済。次は”Festpreis” / 固定価格、それに”Verhandlungsbasis/ VB / 交渉次第だ。

固定価格は、「値引きしませんよ。」というものだが、必ず値引きできます。交渉の腕次第で固定価格の10%まで。

交渉次第とあれば、先方も割引交渉を受け入れているので、最低でも10%は割引可能。ドイツ人が使用する割引の常套手段は、車の欠陥を数え上げる方法。「ここが凹んでる。直すのに1000ユーロかかる。」なんてのは初車編。

「”Zahnriemen“はいつ変えた?」と聞いてくるので、「変えていない。」というと「待ってました!」。「交換の工賃に1000ユーロかかる。」と言ってくる。

実際には10万キロごとの交換が推奨されており、車の走行距離が5万キロなら必要ない。なのに好んで使われる、値引き交渉の手段だ。

また、TÜV / 車検の時期もよく、割引交渉に利用される。日本と違い、ドイツでは車検は車を試験場でチェックするだけ。

故障がなければ80ユーロほどの審査料金。なのに、「10か月後にはもう車検だ!」と割引を要求するのもクラシック。タイヤの溝をチェックして、「新しいタイヤが4本必要だ!」という方法もよく利用される。

滅茶安い!ドイツ式 車の売買方法の利点とリスク – リスク

上述の通り、ドイツでは中古車を個人間で売買するのが一般的。

しかしこの場合、保証がない事を肝に銘じておこう。売買契約書にサイン、鍵を受け取って自宅に帰る途上で車が炎上しても、文句は言えない。サインをした瞬間に、故障込みで購入する事になる。

勿論、売却側があらかじめ車の故障を知っていて、これを沈黙した場合は契約を反故にできる。

しかしそういう輩は「知らなかった。」と言うので、車を買った側は、売却側が車の故障を知っていた事を証明しなくてはならず、これはほぼ不可能。だから安全を期すなら、デイーラーで購入したほうが安全だ。

中古車保障

「保障期間中なのに、修理代金を請求されました。」

と、日本人からご相談を受けることがある。保障というのは、不可抗力なくして故障した機能、部品に対して提供されるもの。

私の場合は、バンパーに装着されていた距離を測るセンサーが故障した。これは無料で修理してもらえたが、サスペンションは「消耗部品」と言われて保障での修理を拒否された。

同様にオイル、オイル交換費用、ブレーキ交換費用、あるいは整備費まで無料になるものではない(整備費用も中古保障に込み!と謳っていれば別)。保障期間中でも車を整備に出せば、整備費用はかかるし、消耗品はその費用を支払う必要がある。

車の整備工場

ドイツには個人経営の車の整備工場の数がとても多い。

日本のように車の交通量の多い場所にある綺麗な修理工場ではなく、アパートの裏にあるひっそり隠れた修理工場が。その多くはギリシャ人やトルコ人の経営だ。

正規の整備工場で整備を頼むと1000ユーロもする車検が、数百ユーロで済む。

もっとも整備工場の中には、”schwarze Schafe”(悪徳業者)は少なくない。典型的なのは、「ブレーキが薄くなって、これじゃ危険。」という台詞でブレーキパッド、あるいはブレーキデイスクまで交換させて金を稼ごうとするケース。

とりわけ整備工場のチェーン店では、このような悪徳商法が多く、何も知らない消費者を騙して余計な修理を行っている。

このため、まずは知り合いのドイツ人などに聞いて、お勧めの整備工場を探そう。頭から信用しないで小さな修理、整備を頼み、仕事ぶりを監督してから、大きな車検などの整備を出すのがコツ。

滅茶安い!ドイツ式 車の売買方法の利点とリスク – 掘り出し物発見?

車をネットなどで探して個人で購入する際の最大の危険は、走行距離の操作ではなく、存在もしていない車にお金を払ってしまう事。

ネットで欲しい車を検索していると、同じような装備、走行距離なのに、他の車よりも3000ユーロも安い値段で提供されているケースがある。

「今日はなんてラッキーな日!」とばかりに、「車を買いたいです!」とメールを送ると、「ロンドンに転勤になった為、車はイギリスにあります。」という返事が届く。「車は整備を終えたばかりで、この通り問題ありません。」と最新の請求書まで添付ファイルで送られてくる。

「車が見れないは不安だけど、安いから買います。」と返事を送ると、売買契約書が送られてくる。

そこには「スペインにある信託銀行に費用を送金してください。」と書かれている。「この信託銀行にお金が入金されれば、ドイツまで車を送ります。」という筋書きだ。

中古車販売詐欺

今更言うまでもないだろうが、これは中古車販売詐欺です。

信託銀行などは存在しておらず、実際にはウエスターンユニオンの送金口座。ここに入金されると、ルーマニアに住んでいる詐欺団に送金される仕組みになっている。こうして最初から存在していない車を購入、お金だけ失うという結末になる。

あまりにも安い「掘り出し物」には要注意。2万ユーロで売れる車を、1万5千ユーロで売る人は居ない。そんなに安いのは、車が存在していないか、時限爆弾が隠れている証拠だ。

詐欺対策

車は自分で見て、試乗して、できれば整備工場でチェックしてから購入しよう。お金の支払いは送金ではなく、現金渡し。

現金で払ったら車と一緒に、”Fahrzeugbrief”(車の所有権を記載している書類)をその場でもらう事。「後から送る。」などと言う場合、お金を渡してはならない。

ドイツの法律では、この”Fahrzeugbrief”を所有している人が、車の所有者である。仮に車を受け渡しされても、この書類がない限り、所有権は移っておらず、販売側はいつでも車を取り戻すことができる。

このように個人売買の危険は高いので、できれば知り合いや、日本人から譲り受けるのが一番危険が少ない。ドイツ人、あるいは「外国人」から購入する場合、ドイツ人の同僚などに同行を頼んで、上述の”Scheckheft”に操作がないか、確認してもらおう。

又、どんなに安くても、「車庫に停まったまま。」の車には手を出すべきではない。車に試乗する際は、まず車を2mほど移動、車が停まっていた場所に油が漏れた後がないか、確認してから試乗を開始しよう。

油漏れをしている車はギアボックスが逝っている可能性が高く、これを入れ替えると数千ユーロかかる。

-お買い物, ドイツの達人になる

執筆者:

nishi

コメントを残す

アーカイブ