今回のテーマは 自己破産 。
ドイツでもカードや分割払いで手軽に買い物、返せない負債を抱え込む人が増えています。
とりわけ若い成人層に借金をする人が多く、その1/7が返せる能力を超える借金を抱えている /”überschuldet”と言われています。
そんな人に残されている最後の手段が自己破産。
そこでここでは
「ドイツでの自己破産」
について、紹介したいと思います。
この記事の目次
失敗しない 自己破産
ドイツでの自己破産、正式には
“Verbraucherinsolvenz”(消費者自己破産)
と呼ばれています。
この制度が導入された根底には、
という考えでした。
それよりも数年でさっぱりと借金苦から脱却できれば、社会に復帰できて、一人前の人間として再スタートできます。
借金苦で悩んでいる何十万という人が社会に復帰できれば、そのほうが経済効果が高いという、実にドイツ的な考えです。
自己破産 手続き
自己破産の手続きを開始するには、幾つか条件があります。一番大事なのは以下の2点。
- 債権者を一人残らず把握しており、これをちゃんと申請書に記載している事
- 官庁への借金がない事
借金に悩んでいる人は、往々にして現実から目を閉ざして、催促の手紙を読まないことが多い。せめてこれを何処かに保管していればいいが、そうでない場合は、債権者に請求書を再送してもらいましょう。
「あ、ひとり忘れてた。」なんて事になると、自己破産手続きは無効になります。
又、役所(税務署等)への借金はすべて返済してあることが条件。スピード違反の罰金でも、未払いの請求が発覚すると、自己破産手続自体が破産します。
借金カウンセラー / Schuldnerberater
こうした破産宣告の資料作成は素人には無理なので、借金カウンセラー /”Schuldnerberater”に相談します。これは弁護士が行うケース(有料)もあれば、公益団体が無償で提供しているケースもあります。当然、人気のあるのは無償のカウンセラー。
ところが20歳以上のドイツ人の10%、ほぼ7百万が債務能力を超える借金を抱えています。
参照 : statista.com
結果、無償のカウンセラーは2か月先まで予約で一杯です。大都市になると3か月先まで。早く相談したい人は、弁護士に相談することになります。
弁護士に頼むと幾らかかるの?
弁護士に借金カウンセリングを頼む場合は、裁判所にカウンセリング券 /”Beratungshilfeschein”の発行を申請することができます。
裁判所により、「無料相談所に行きなさい。」と言われることがあれば、「はい、1枚15ユーロ。」と、カウンセリング券を発行してもらえるケースがあります。
調停
カウンセラーの最初の仕事は債務者の借金の全体像を把握して、債権者と和解を図ること。和解を図るには(目安として)借金が2万ユーロある場合は、その1/10の2000ユーロほどの資金が必要です。
債権者にしても自己破産されたら、一銭も入ってこないので、1/10でも入ってくれば、和解に応じることがあります。
その資金がない場合、あるいは債権者が和解に同意しない場合は、晴れて(?)、自己破産の申告を裁判所に上げることになります。
自己破産 費用
借金を返せないので自己破産するのに、お金がないと破産できないっ!?違和感がありますが、これには裁判所の判断が必要になるので、仕方ないかもしれません。その費用は1800ユーロから2500ユーロまで。
費用が大きく異なるのは、債権者の数により審理が複雑になるからです。2~3人の債権者なら安くあがります。これが20人、30人といる場合は、2500ユーロ覚悟してください。尚、分割払い可です。
たったの3年で借金帳消し!
こうした数々のハードルをクリアして6年間辛抱すると、自己破産手続きは終了、晴れて”Schudenfrei”(借金なし)となる。ただしこの審査機関中に、新たな借金を抱え込まないことが条件です。
ドイツでは、「早く借金なしになって、また消費をしてくれたほうが経済効果が高い。」と考えます。そこで2014年に法改正があり、3年、あるいは5年で借金が帳消しになることも可能になりました。
3年で借金帳消しになる条件
まずは3年で借金が帳消しになる方法から。それには、
- 借金総額の35%を債権者に返却している
- 裁判費用を支払い済
という条件です。
5年で借金帳消しになる条件
5年で借金が帳消しになる条件はひとつだけで、裁判費用を全額払っていることが条件です。ですから、現行ではほぼ5年で借金帳消しになっる筈。
EU借金帳消し令 / EU-Restschuldbefreiung
ところがEU委員会には、「まだ長すぎる。」と自己破産に必要な期間に不満。2019年11月、EU委員会は「借金からの解放を3年で可能にすべし!」という決定を下しました。
EU委員会は加盟国にこの規定を、2021年までに自国の民法に適応することを求めている。すなわち遅くてもこの2022年以降は、基本的にドイツでも3年で借金が帳消しになるようになる(筈)だ。
その際、加盟国がどんな条件をつけるか、これにはある程度の自己裁量が許されている。
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