ドイツの達人になる 規則、法律

警告通知 / Mahnung をもらったら?

投稿日:2020年4月17日 更新日:

警告通知 / Mahnung をもらったら? 【ドイツ生活の常識】

ドイツ生活に「欠かせない」のが”Mahnung”/ 警告通知です 。

ドイツで生活していたら、絶対に貰います。

問題はここから。

日本人は警告通知をもらっても、

「”Mahung”って何?」

と、その意味がわかっていません。

警告通知 / Mahnung をもらったら?

多くの方が

「一番最初に経験する警告通知  / Mahnung」

は、請求書の未払いによるものです。

なのに

「どうせ詐欺でしょ。」

と、無視する人も多いです。

あるいは支払いきれない借金を抱えているので、

「見えないフリ」

をする人も。

これが一番マズイ対処方法です。

 

ダチョウのように危機が迫って頭を草の中に突っ込んでも、危機は消えず、悪化するばかりです。

直ちに対処すべし!

警告通知が来たら、直ちに行動を起こす必要があります。

私もちょくちょくもらったのが、電気料金の未払いです。

以前は電力会社と契約すると、

「以下の日に〇〇ユーロ、下記の口座に払い込みされたし。」

という手紙が届いたんです。

そこには1年分の支払い日が、びっちり書き込まれている。

たまにこれを忘れると、

“Erinnerung”(忘れていませんか?)

という表題で手紙が届く。

そこには毎月の電気料金に加えてしっかり、

「警告手数料」

として5ユーロが加算されている。

ところがである。

民法では

「最初の警告で警告手数料を上乗せてはならない。」

 

となっている。

誰でも支払いをうっかり忘れることがある。

なのに初回から警告手数料を要求するのは、消費者を過度に不利な立場におとしいれるので、

「不可!」

とされている。

ところがまったくチャラというわけではない。

支払い期限

請求書の未払いに警告手数料を課すのが正しいのか?

を議論する前に、

そもそも請求書はいつまでに払うものなのか

 

を規定する必要がある。

「そんなの簡単。請求書にいつまで支払えって書いてあるよ!」

と思われる方もいるかもしれない。

しかし民法には

「債権者が請求書に書いている支払日は、あくまでも目標日であり、これを理由に警告することは許されず。」

 

とある。

加えて民法には、

“Ist Ihr Kunde eine Privatperson, so muss auch auf die 30-tägige Zahlungsfrist explizit auf der Rechnung hingewiesen werden.”

 

とある。

日本語で言うと、

「債務者が個人場合の支払い期限は、30日以内と請求書に書くべし。」

です。

わかりやすく言えば、

支払い期限が明記されている、されていないに限らず、支払い期限は請求書の発行日から30日なんです。

 

だからドイツでは請求書には必ず、発行日が明記されています。

すなわち!

請求書の発行日から30日以内の警告通知 / Mahnung は無効です。

 

ですから警告手数料も払う必要はありません。

請求書の発行日から30日以内の警告通知であれば。

例外

「例外があるからといって、規則の有効性が失われるものではない。」

とはドイツの諺。

このケースでも例外がある。

それはまさに冒頭で述べた、

あらかじめ支払日がわかっている支払いの場合。

 

例えば

  • 電気代
  • 携帯電話
  • フィットネス スタジオの会員費
  • 家賃

などです。

この場合は、

「次の支払日」

が、あらかじめ通知されています。

このケースでは、債権者は初回の警告で警告手数料を課すことができます。

 

残念!

警告通知 / Mahnung 手数料の額

このように電力会社が、初回の通知で警告手数料を課すのは合法です。

でも

「5EURの請求額」

は合法なのだろうか?

まず第一の原則は、

警告手数料は請求額を超えてはならぬ。

 

とされている。

もし5ユーロ未満の額面を払い忘れたのに、5ユーロの警告手数料を課すのは違法ということだ。

次のルールでは、

最初の警告通知では、その書類の郵送にかかった実費だけ請求していい。

 

となっている。

早い話が郵便料金、封筒代、紙代、インク代などである。

このため、正規の警告手数料は2~3ユーロとなる。

判例

この警告手数料に関する判例が幾つかある。

某電力会社が電気代の月々の支払を忘れたとして、客に5ユーロの警告手数料を請求した(これがドイツの典型的な例)。

消費者はこれを不服として高等裁判所まで訴えたから、余程怒ったのか、暇があったに違いない。

高等裁判所は5ユーロの警告手数料を違法として、1.20ユーロの手数料を合法とした。

 

すなわち!

皆さんが請求書の払い忘れでもらう警告手数料の多くは、違法ということになる。

そんな警告通知 / Mahnung が届いたら、封筒に貼られている切手料金を見て、

「判例 Az.29 U 634/11 により適正な警告手数料〇〇ユーロを払います。」

と、債務者に伝えればよい。

質問
訴えられないの?

 

わずか数ユーロで訴える会社はありません。

ちなみに私はこれまで一回目の警告通知 / Mahnung を貰ったら、警告手数料を無視して、本来払うべき額だけ払ってました。

これまで一度として、不足分の5ユーロを要求されたことはありません。

あくまでも、

「これまでは。」

ですけどね。

警告通知 / Mahnung を無視するとどうなる?

ところが最初の警告通知 / Mahnung で、行動を取らない人が結構多い。

とりわけ外国人。

警告に反応しない場合はどうなるんだろう?

その場合は債権者は

“Verzugszinsen”(未払い利息)

を上乗せする権利がある。

が、ここでも民法で未払い利息が規定されており、

「二度目以降の警告通知の利息は、5%を超えてはならない。」

なっている。

厳密に言えば、2020年では4.14%。

すなわち!

1000ユーロの家賃を払い忘れて警告通知 / Mahnung が届いたら、利息は最大限で4.14ユーロまで許されていることになる。

問題はここから。

ドイツ大手の電話会社、ドイツ テレコムはすでに二度目の警告書で弁護士事務所 / Inkassobüro を使用する。

 

すると未払い利息に加えて、弁護士事務所の手数料が60ユーロ以上も加算されている。

これは払わなければならないのだろうか?

二度目以降の警告通知 / Mahnung

  1. 二度目の警告通知が届き
  2. そこに警告手数料が載っていた場合、

原則、これを払う義務があります。

原則というのは、

その警告手数料が常識の範囲内であることが条件です。

 

すなわち!

本来の請求額が70ユーロなのに、いきなり700ユーロもの警告手数料を乗せるのは、常識の範囲を超えます。

しかし電話代金の未払いで、60ユーロの程度の警告手数料は

「常識の範囲内」

ですので、払う義務があります。

通常では(ドイツ テレコムでなければ)二度目の警告通知では、20~30ユーロの手数料が課されます。

三度目の警告通知では、50~80ユーロの手数料が課されます。

それでも支払いがない場合は、この件は

“Inkassobüro”(合法の取り立てマフィア)

の出番になります。

そうなると警告手数料は高いっ!

安い場合でも三桁です。

まとめます。

警告通知は回数が増えるにつれ高くなります。

この為、最初の警告通知 / Mahnung が届くと、見てみないフリをするのではなく、直ちに行動を取る必要があります。

ドイツテレコムには要注意!

質問
どうしてドイツ テレコムはすぐに、弁護士事務所を使うの?

 

理由は簡単。

法律で認められている

「2ユーロの支払い催促状」

を送っても、儲からないからです。

でも数万の顧客に

「毎回60ユーロの警告通知」

を送れば、数十万の客を持つ会社の利益は数百万ユーロ。

電話会社なんぞしているよりも、はるかに収益率が高いです。

ですからドイツ テレコムはすぐに弁護士事務所を使います。

ドイツ テレコムで契約している方は、要注意。

手紙が届いていなかったら?

ごく稀に、債権者からの警告通知が届かない場合があります。

債権者が住所を間違って手紙を送り続け、入金がないので最後は弁護士事務所 / Inkassobüro が登場。

弁護士事務所はちゃんと市役所で登録された住所を調べ、正しい住所に送付。

すると債務者はこれまで一度も警告通知をもらっていないのに、いきなり高額の弁護士費用の支払いを要求されます。

このような場合では、

債務者には弁護士費用の支払い義務はなく、弁護士費用は債権者の自腹になります。

 

するとこれを利用して、

「”Mahnung”なんて届いてません。」

とシラを切る人も。

果たしてそんな言い訳が通じるんでしょうか?

証明義務

「手紙が届いていないよ!」

と言い張る人は、それが本当であれ、嘘であれ、これを証明する義務を負います。

そう、本当に手紙が届いていないと証明しなくてはなりません。

質問
どうすればいいの?

 

一番スマートな方法は先方が送ったという支払い催促状のコピーを、メールなどで送ってもらうこと。

そこにはあなたの住所が載っています。

これが間違っていれば、

「ほら!間違ってるでしょ!」

と証明になります。

質問
住所は正確なのに、本当に届いていない場合は?

 

その場合は

「万事休す」

です。

どんなに正しくても、これを証明できる手立てがなくては、正義は得られません。

効果は疑わしいですが、郵便を配達する郵便局に

「手紙が届いていない。」

と苦情をあげ、その陳情書を

「証拠」

として提出することもできますが、効果は不明。

警告手数料詐欺に要注意!

上で述べた通り、警告通知が弁護士事務所 /Inkassobüro から届くケースもあります。

ドイツテレコムのように。

弁護士事務所が出てくると、請求額はうなぎのぼりです。

ところが中には、

Inkassofirmaを語るマジの詐欺師もいます。

 

そこでまずは、どんなサービスに対しての請求なのか、まずはチェック。

仮に身に覚えのないサービスの請求だとしても、無視しては駄目!

ドイツでは不当な請求でも、放っておくと裁判所から手紙が届き、正当な要求に早変わりします。

 

身に覚えのない手紙が届いたら

  1. お住まいの街にある消費者センターで助けてもらう
  2. 弁護士保険に加入されている方は、そちらで相談する

といった対処をすることが必要です。

Abmahnung ってなに?

このように警告通知 / Mahnungは個人生活上のトラブルです。

名前がよく似たものに

Abmahnung

という物があります。

是非、こちらもチェックされたし!

Abmahnung って何? ドイツで働く人、要注意!!

-ドイツの達人になる, 規則、法律

執筆者:

nishi

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