ドイツの達人になる 就職雇用

仕事中に携帯を操作したら解雇される?

投稿日:2020年12月18日 更新日:

仕事中に携帯を操作したら解雇される?

先日、名古屋市内のある交差点にて。

青信号なのに交差点の前で止まって、一瞬とも顔を上げない若い女性。20年前半です。心配になってみつめていると、案の定。

赤信号に変わると、信号を確認せずにいきなり歩き始めます!

「危ない!赤信号だよ!」

と(自衛隊で鍛えられた大声で)叫ぶと、やっと顔を上げてキョロキョロ。

学生のうちにこんな状態だと、仕事を始めると痛い目に遭います。

仕事中に携帯を操作したら解雇される?

日本の携帯ゾンビは未だに増殖中。

哀しいことに、ドイツも似たり寄ったり。

WhatsApp を始めとした携帯のアプリに「中毒」になり、トイレでも携帯を手放すことができない人が多いです。男性用のトイレで用を足すかわりに、便器の前に立ったままフリーズしているドイツ人を何度も見かけました。

用を足した後でフリーズしたのか、その前にフリーズしたのか、そこは不明。まるで銅像のように固まってました。

そんな人が就職しても、中毒症状は治まりません。雇い主から、

「仕事中の個人の携帯の使用を禁ずる。」

と言われているのに、

「何かニュースが来ていないか?」

と気になり、携帯をチェック。そんな人は一度や二度のチェックでは済みませんから、遅かれ早かれ上司に見つかります。

運が悪いと、仕事中に携帯を操作したら解雇される事もあります。

雇用契約書 インターネットの使用

勿論、仕事中に携帯を操作しただけで、皆がクビになるわけではありません。

大事なのは雇用契約書に書かれているインターネットの使用です。もし雇用契約書に、

「仕事場での私用のインターネットの使用を禁止する。」

と書かれていると、お昼のお休み時間に携帯を操作するのも、禁止されています。皆さんがそんな場面でよく使う言い訳、

「他の人もやってるじゃん。」

を使うと、仕事場でのインターネットの私用の使用を認めたことになります。これが最初だったら、訓戒処分で済みます。

でも二度目はないので、細心の注意が必要です。もし他の件、遅刻などで訓戒をもらっていたら、仕事中に携帯を操作した廉で

「即クビ!」

に繋がります。

会社のパソコンで私用の閲覧

もし仕事場でのインターネットの私用の使用が禁止されていたら、会社のパソコンで私用の閲覧をするのもご法度です。

ドイツでは会社(上司)が、社員が使用しているパソコンのメールを閲覧するのは、個人領域の侵害に相当します。

どういう意味ですか?

上司が社員のメールを覗き見するのは法律違反です。例えそれが会社が支給したパソコンでも。

ドイツの日本企業はこの点を理解していないので、社員が帰った後、社員のメールをチェックする上司もいます。

そんな違法のチェックで私用メールが見つかり訓戒をもらったら、直ちに弁護士に相談して、これを撤回させましょう。

ただし!上司が社員のパソコンのブラウザの履歴を見るのは合法とされています。

ベルリンのある会社で社員が仕事中に、私用でインターネットを使用。解雇されてしまいました。会社側は30日間で5日間、インターネットを私用で使っていた事実を、その根拠としました。

解雇された社員は個人領域の侵害に相当すると訴えましたが、「ブラウザの履歴を見るのは許される。」と、ベルリンの地裁が判決、解雇は覆りませんでした。

参照 : berlin.de

雇用契約書で仕事場でのインターネットの私用の使用が禁止されていなくても、これを使い過ぎるのはご法度です。

「私用のメールを書く者は働いていない。」

との原則が適用されるためです。仕事時間中に会社のパソコンを使っての私用の閲覧、メールを書くのは仕事時間の詐称行為にあたります。私用のメールは休憩時間まで待ちましょう。

会社のインターネットを使っての閲覧・メール

「休憩時間まで待ちましょう。」

と書きましたが、休憩時間中に自分の携帯+自分のプロバイダーを使って、SNS をチェックしたり、メールを書くのは自由です。会社は休憩時間の過ごし方までは指図できません。

が、休憩時間中に会社のインターネットを利用して、自分の携帯でSNS をチェックしたり、メールを書くのは上司(会社)の承諾が必要です。

冒頭で述べたように契約書に、

「仕事場での私用のインターネットの使用を禁止する。」

と書かれている場合は、休憩時間でも会社のインターネットを利用するのはご法度です。この場合では、自分の携帯+自分のプロバイダーを使って、SNS をチェックしたり、メールを書く事に限りOKです。

雇用契約書にはっきり書かれていない場合は、さらに注意が必要です。

会社はその気になれば、「許されていない携帯の使用」を理由に、気に入らない社員をクビにしようとするからです。

「雇用契約書に何も書かれていない。」

というのは、

「何をしてもいい。」

というものではありません。

会社で携帯を充電したらクビになる?

「会社で携帯を充電したらクビになるってよ。」

って話を聞いたことないですか。ない?

実はこの噂、本当なんです!

ドイツのある会社で、

「社内での私物の携帯使用禁止」

という規定があるのに、ある社員は平気で社内で写真を撮ったり、帰宅に備えて私物の携帯を充電していたんです。

これをみた上司、「電気の盗難だ。」という理由で、この携帯男を解雇しました。当然、ドイツ人は労働裁判所に不当解雇で訴えました。

理由は不明ですが、ここで会社側が解雇を取り下げたので、裁判では、

「どちらが裁判費用を払う?」

という闘争に。結局、お互いに折半することで同意に達しました。

参照 : arbeitsrecht.org

あのまま裁判になっていたら、私物の携帯の充電でクビになっていたかもしれません。この携帯男にとって幸いだったのは、弁護士保険に入っていた事。会社は裁判になって、会社の名前が全国紙に載る事を嫌います。

ですから原告が払ったのは、弁護士保険だけ。ところが日本人は弁護士保険に入らない人が99%。仕事場で携帯の充電を理由に解雇されても、会社を訴えることができず、泣き寝入りになります。

電気の盗難でクビにならない対策

正直に言えば、会社で私物の携帯を充電されている方が、大半だと思います。

あとでもめないように(いちゃもんをつけて訓戒やクビの理由に利用されないように)、電気の使用料金で会社側と同意に達しておくことが必要です。口頭ではなく、書面で。

例えば、「携帯の充電代金は毎月5ユーロ、お給料から引く。」と取り決めていれば、お給料明細がその証拠になります。

仕事中に私用の電話はしてもいいの?

と、仕事場でのいろいろな制限を聞くと、

「仕事中に私用の電話はしてもいいの?」

って、聞きたくなりませんか?

これも雇用契約書次第です。が、通常は何も書かれていません。すなわち

「私用の電話し放題!」

ではなく、ケース バイ ケースです。

「今日、遅くなるから先に食事済ませて。」

などの私的な電話で怒る上司は居ません。が、恐るべしは現代の携帯世代。会社に着くなり、

「〇〇ちゃん、今、会社に着いたよ。うん、そうなんだよ、、、。」

と延々、プライヴェートな会話をするんです。悪いとも思ってないから、これが凄い。

上司に見つかると、これは訓戒の立派な理由です。会社に着いたら携帯電話は切りましょう。会社はあなたの果たす仕事にお金を払っているのです。私用の電話ではありません。

タバコ休憩は合法、それとも違法?

喫煙者にとって、仕事時間中にタバコを吸えないのは地獄です。

ところがドイツでは、仕事場での喫煙は禁止されています。このため喫煙家は、ドイツに行くべきか、考えた方がいいです。

「でも、タバコ休憩はあるでしょ?」

と思ったあなた、それは日本での話です。ドイツの労働法では、

「6時間働いたら、30分の休憩を与えるべし。」

とあります。

すなわち9時から仕事を始め、すでに10時に、

「ちょっと一服してくる。」

は契約違反です。厳密に言えば、訓戒をもらう理由になります。

そもそもタバコを吸わない人は、あなたがタバコ休憩中の仕事をしているんです。喫煙者だけにタバコ休憩を許すと、不公平になります。

とはいっても、喫煙者の権利も守ってくれるのがドイツ。通常はタバコ休憩を認めてくれます。

屋外、会社の入り口から10mほど離れた場所に、喫煙スペースが設けられています。ココで、マイナス20度の真冬でも、タバコを吸うことができます。

そしてタバコ休憩につかった時間は、労働時間ではありませんので、ちゃんと記載しておき、余分に残業しなくてはなりません。タバコ休憩を何度も取ったのに、タバコ休憩をしない人と同じ時間に帰宅していると、訓戒の理由になります。

 

-ドイツの達人になる, 就職雇用

執筆者:

nishi

コメントを残す

アーカイブ