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ドイツ サッカー連盟会長 副会長をナチと比較す!

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ドイツサッカー連盟 /DFB は、会員数700万人を誇る世界で最大のスポーツ連盟だ。

ホームページでは、まるで聖人だけが住む天国のようなイメージ作りに腐心しているが、

参照 : DFB

現実は、正反対。

権力を持つ人間は、それが日本人であれ、ドイツ人であれ、

「謙虚」

という言葉とは、縁のない人間になる。(*1)

ドイツ サッカー連盟も例外ではなく、上層部は権力争いに明け暮れている。

その権力闘争の中でケラー会長が、(副会長の)コッホ氏をナチスの悪名高いフライスラー判事(*2)と比較した。

これはまずかった。

ドイツで誰かをナチと比較すると、かなりの確実でブーメランとして返ってくる。(*3)

今回も例外ではなかった。

ドイツ サッカー連盟会長 副会長をナチと比較す!

事の発端はDFBの役員が、

「通信エージェント」

との契約で36万ユーロ(日本円で5000万円)もの巨額の「契約金」をかしめたこと。

自分に賄賂が支払われなかった事を不思議に思ったケラー会長は、なんのための契約金なのか、調査を開始した。

ところがである。

おいしい賄賂を守りたいDFB内の派閥は、会長の調査をサボタージュした。

その筆頭にたったのが、副会長のコッホ氏だっだ。

これに怒ったケラー会長が、

「コッホは、フライスラーみたいな奴だ!」

と、不満をぶちまけた。

コッホ氏はかってミュンヘンで判事をしていたもあり、描写としてはぴか一。

が、この比較はまずかった。

ナチス比較はタブー

ドイツでナチス比較とやると、穏便に済むことはありません。

以前、フォルクスヴァーゲンの社長が

“Ebit macht frei”だ!

と発言したことがあった。

これはアウシュヴィッツ絶命収容所の入り口に掲げられている文句をもじって、

「業績により自由になれ!」

と、やったわけだ。

VWという世界企業の社長なのに、なんという常識のなさだろう!

世界中から非難された。

今回でも例外ではなかった。

おそらく副会長のコッホ氏が、マスコミに流したのだろう。

2日後には、

「DFB会長 副会長をナチスと比較す!」

の大見出しげネット、テレビの話題をかさっらた。

発言撤回 & 陳謝

雨あられと降り注ぐ非難に、ケラー会長は発言を撤回 & 平謝りするしかなかった。

真っ先にフライスラーと比較したコッホ副会長に詫び、ついでユダヤ人団体に、

「ナチの蛮行で身内をなくされた方に、不愉快な思いをさせてしまった。」

と、平謝り。

しかし会長職からの辞任は、きっぱりと拒否した。

「なんで俺だけが?」

という思いもあったに違いない。

ここで政治が介入してきた。

ケラー氏 辞任す!

今年の9月は総選挙。

この大事な時期に政府与党は、

「ナチ問題」

を抱えたくないのは明白。

収賄疑惑を解明しようとしたケラー氏の動議は正しくても、ナチとの比較は切腹もの。

内務大臣は、

「情けない内部抗争をやめるときが来ている。」

と発言した。

しかしケラー氏はここでも、辞任を拒否した。

そもそも64歳のお年寄りに、25万ユーロ(3000万円)ものお給料+さらに高額な賄賂をもらえる仕事場はそう多くない。

ところが最後の頼みだったサッカー地方連盟が軒並み、ケラー氏への支持をとりさげ、辞任を勧告してきた。

ケラー氏、きっと四面楚歌のような気持になったに違いない。

地方連盟からの圧力に負けて遂に、

「辞任する用意がある。」

と負けを認めた。

喧嘩両成敗

DFB内は、喧嘩両成敗が正しいと判断したようだ。

ケラー氏からナチ呼ばわりされたコッホ氏、及び意味不明な契約金をもらった役員は、2021年で切れる契約を更新せず、引退する。

「これでDFBの収賄の泥沼が、干潟になる?」

と思われた方、世の中はそんなに甘くはありません。

賄賂・収賄で辞任したDFB会長

オリンピックやサッカーになど、人気のあるスポーツの開催地を決めるのは金です。

サッカーWM、オリンピック開催は、

「お・も・て・な・し」

の心ではなく、誰が一番大金を払ったかで決まります。

2006年にドイツで開催されたサッカーWMでは、670万ユーロの賄賂がFIFAに支払われた。(*4)

その廉でDFBの会長、ニースバッハ氏は2015年、辞任に追い込まれた。

後任者のグリンデル会長は、ウクライナのサッカー連盟の役員から、時価1万1000ユーロの高級腕時計の贈り物を頂戴した。

2020年にこれがバレて、グリンデル会長は辞任した。

その後任が、今回辞任したコッホ会長だった。

3人連続してスキャンダルで辞任しているのが、DFBの会長職。

誰が次の会長に就任しても、ただ顔ぶれが変わるだけ。これまでの慣習は何も一つ変わらない。

注釈 – ドイツ サッカー連盟会長 副会長をナチと比較す!

*1

とりわけ中年になるとその傾向が顕著で、高齢になるともう手が付けられない。日本のオリンピック委員会しかり、日本のテコンドー連盟の理事など、快挙に暇ない。

*2

ナチの狂信者。ナチの思想に反対する市民を、次々と裁判で死刑に処した。

*3

かって(故)コール首相は国会会議長を、ナチスのゲーリング空軍元帥(当時は国会議長)と比較したこともあった。

*4

賄賂の出所は、ドイツのスポーツ用品メーカーのアデイダスです。もっとも、「貸しただけ。」で、返してもらう約束だったという、、。

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執筆者:

nishi

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