日本、そしてドイツで増殖中のコロナウイルス デルタ株。
デルタ株の繁殖力を考えれば、今月中に主要株に入れ替わります。
日本では、オリンピック目前での緊急事態宣言は必至。
一方、ドイツ政府は、
「デルタ株が蔓延すると、ワクチン接種をしていない人の90%が感染するだろう。」
と警告を鳴らしている。
そしてデルタ株が蔓延しているイギリスでは、日々、2万人が新たに感染している。
なのにイギリス政府は、
「コロナ制限は完全に取り払う。」
と宣言。
まるで
「デルタ株 恐るるに足らず。」
とでも言いたげな対応。
その自信はどこから来ているのだろう?
この記事の目次
コロナウイルス デルタ株
この前までは、
「イギリス株」
「ブラジル株」
と言っていたのに、いつからアルファやデルタになったの?
それは6月にWHOが、
「わざわざウイルスの遺伝子解析をして、変異体を見つける努力している国を非難するような名前の付け方はおかしい。」
と提言したのがきっかけです。
解せないのは呼び名に、ギリシャのアルファベットを採用した事。
結果、
イギリス株はアルファ
南アフリカ株はベータ
ブラジル株はガンマ
インド株がデルタ
というわけです。
デルタの次に来るギリシャのアルファベットは何だろう?
そして次の変異体は何処から来るんだろう?
ドイツ コロナウイルス デルタ株 蔓延率
デルタ株は今、ドイツで猛烈な勢いで増殖している。
毎週、蔓延率は倍増。
7月最初の週には、36.7%に達した。
今月中に主要株となることは確実だ。
デルタ株の増殖にもかかわらず、ドイツでは未だに感染率が下がり続けている(*1)。
7月冒頭、感染率は1年以来の低い数字、4.9を記録した。
1週間平均の感染者数は597人/日。
一方、同じようにデルタ株が増殖している日本では、感染率の増加が止まらない。
日本の感染者数はドイツのほぼ3倍になっている。
この違いはどこから来ているのだろう。
運命の分かれ目 コロナワクチン
運命を分けたのは、コロナワクチンだ。
日本では一回目のワクチン接種を済ませた人は、まだ24%。
二回目に至っては、たったの13%。
一方、ドイツでは一回目のワクチン接種を済ませた人は、55.6%。
一回目の接種者だけでみれば、ドイツはワクチン先進国の米国の55.3%を追い越した。
問題は2回目の接種率で、ドイツではまだ37,9%。
米国、英国に大きく遅れてはいるが、日本の2.5倍の数字だ。
これが日本とドイツの命運を分けた。
日本人の
「世界に類を見ない行動規制モラル」
をもってすれば、ドイツよりもはるかに感染者 & 感染率が下がっていたのに。
政府のワクチン確保が遅すぎた。
デルタ株 恐るるに足らず?
ワクチン接種先進国のイギリスでは今、2万7千人/日がコロナに感染している。
ブラジル、米国、コロンビアに次いで、世界で4番目にひどい感染状況だ。
EMが終われば、3万人台に達するだろう。
なのに
「デルタ株 恐るるに足らず」
と、コロナ規制を緩和。
今、欧州で開催中のヨーロッパカップでは、サッカー競技場に6万人を収容した。
規制がないので、マスクなんて誰一人してない。
スコットランドではEMの観戦で2000人が感染したのに、一向に改するそぶりがない。
7月19日には最後の規制も撤廃される。
イギリス人は馬鹿なんだろうか?
データで決めるコロナ規制
イギリス政府はコロナ蔓延の初期から、おかしな政策を実施してきた。(*2)
今回もその一環かもしれない。
ただイギリス政府は、過去の失敗から学んだ(ように見える)。
イギリスではコロナ規制を日本のように
「コロナ蔓延防止規制は、6月11日まで」
と日付で決めることはない。
「感染率が30を切るまで、コロナ規制を続ける。」
と感染データで規制の継続か否かを決める。
そのイギリス政府がコロナ規制の完全撤廃に踏み切ったのは、
「なんとなく」
ではなく
「データの裏づけ」
があったからに他ならない。
そのデータとは?
コロナはただの風邪?
イギリスでは日々、2万7千人がコロナに感染しているのに死者はたったの27人/日だ。
一方、日々の感染者が600人に過ぎないドイツでは、55人/日が亡くなっている。
この数字からわかる通り、ワクチン接種が勧めば感染者数が増えても、死者数は低く抑えられる。
イギリスで2回目のワクチン接種を済ませた国民の割合は、49%。
ドイツよりも11%高い。
これが大きな差を生んでいる。
コロナワクチンを2回接種していても、ウガンダのオリンピック選手団のように、感染することはある。
しかし症状が悪化しないのだ。
そもそもコロナウイルスは風邪のウイルス。
ワクチンさえ打てば、
「デルタ株 恐るるに足らず」
で、ただの風邪と同じ程度の症状しか出ない。
ドイツでは2018/9年にインフルエンザが猛威を奮った。
インフルエンザによる死者は2万5000人(*3)。
日々の死者数にすれば56人/日となる。
しかし
「インフルエンザ規制」
もなければ、学校も休校にならなかった。
コロナワクチンが完成して市場に出回っている今、2回の接種を済ませば、デルタ株 恐るるに足らず。
実際ドイツ政府も、
「デルタ株により感染者数が増えても、コロナ規制は病院のベット数を見て決める。」
と、言っている。
要するに新型コロナが次第にその脅威を失い、
「インフルエンザと同じ扱い」
になりつつある証拠だ。
ドイツで国民の過半数が2回のワクチン接種を終えるのは、8月初旬(*4)。
日本なら秋。
その時点では、デルタ株 恐るるに足らずである(*5)。
何故、コロナワクチンは変異体に有効?
デルタ株を克服するには、コロナワクチンが変異体に有効なことが条件だ。
これまで変異体が出る度に、
「ワクチンが効かない恐れがある。」
と、日本のテレビは無責任な報道をしてきた。
世界で始めてメッセンジャーRNAワクチンの開発に成功したのが、マインツに本社を置くビンテック社だ。
創設者のサヒン氏は変異体が出現した際に、
「ワクチンは変異体にも効くのか?」
と聞かれ、
「コロナウイルスの2000を超えるスパイクDNAを分析して、ワクチンはこれに対して免疫反応を起こすようになっている。」
「変異体で変わったDNAはわずか数個。ワクチンが利かなくなる理由がない。」
と回答している。
そしてその回答通り、次々と出現してくる変異体に対して、mRNAワクチンが有効である事を証明した(*6)。
メデイアは根拠もないのに変異体が出る度に、
「ワクチンが効かないかもしれない。」
という無責任な報道を辞めるべきだ(*7)。
新型コロナウイルスは一生の友達
「ワクチン接種でコロナウイルスは来年には無くなるから、私は打たなくてもいい。」
と考えている方が、意外と少なくない。
新型コロナウイルスがなくなることはない。
今後、変異を続けていきながら、我々が死んでもこの世に存在することになる。
だから人類が、この新型コロナウイルスに対して免疫を持つことが欠かせない。
人類がコロナウイルスに対して免疫を持てば、ウイルスがギリシャ語のアルファベットがなくなるまで変異しても、恐るるに足らず。
一方、
「周りの人が接種してくれれば私は、、。」
と考えている人は、ギリシャ語のアルファベットの末尾まで変異した強烈なウイルスへの感染を覚悟する必要がある。
マスクなしでお買い物に行けて、海外旅行にも行ける以前の生活を取り戻すには、一人一人のワクチン接種が欠かせません。
不安を煽るテレビ報道、SNSの出鱈目記事、テレビ教授の意見に惑わされませんように。
注釈 – コロナウイルス デルタ株 恐るるに足らず?
*1 7月4日、2か月振りに前週と比較して感染者数が79人増加。これからは増加の一途?
*2 イギリス政府は去年、「集団感染を引き起こして、集団免疫を獲得する。」という政策を実施。数万人が政府の失策で死んだ。
*3 日本では毎年2万を超える人が自殺している。デルタ株よりはるかもおそろしいのが、日本社会の闇。
*4 ドイツでは今、二回目のワクチン接種を無断欠席する人が多くでて、問題になっている。罰金の導入も検討されている。
これ以上ワクチン接種無断欠席者が増えなければ、8月初旬には国民の過半数が2度目の接種を済ませる計算になる。
*5 ワクチンを接種した人に限られます。
*6 ビンテック社では変異体のDNAを分析して、来年以降必要になる「三度目のワクチン」を準備している。
*7 イスラエルの統計によると、デルタ株への免疫効果は64%とこれまでの変異体よりも低くなっている。
ただし93%の割合で重症化を防いでいる。