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ドイツはレオパルト2戦車 出すの出さないの?

投稿日:2023年1月24日 更新日:

ドイツはレオパルト2戦車 出すの出さないの?

プーチンの戦争は、ドイツの外交政策を180度転換させることになった。

ショルツ首相はこれを

“Zeitwende”(新しい局面の到来)

と呼んだが、残念ながら変わったのは言葉だけ。

首相を始めとして社会民主党は未だに、

「親ロシア外交」

を捨てきれずにいる。

お陰でロシアによるウクライナ軍事侵攻から11ヶ月経っても、

「レオパルト2戦車は提供しない。」

と、ぬるま湯につかったまま。

が、ここにきて風向きが変わってきた。

ウクライナ軍事支援会議

1月20日、ウクラアイナを軍事支援している西側祖諸国の国防相、俗に言う

“Kontaktgruppe”(有志の集まり)

が、今後の軍事支援について協議した。

質問
日本も参加したん?

 

日本は軍事支援を拒否しているので、呼ばれませんでした。

最大のテーマは、ドイツの主力戦車レオパルド2戦車のウクライナへの供給だ。

侵攻後からウクライナはドイツの戦車を要求してきたが、

「西側諸国は何処も戦車を提供していないので、ドイツだけが戦車を提供することはない。」

という

「日本人っぽい言い訳」

で、ショルツ首相は逃げてきた。

所詮、

“Zeitwende”

などという言葉を使っても、人の頭の中まで変えられるものではない。

ショルツ首相はこの言い訳で、

「逃げ切れる。」

と思っていた。

新しい言い訳

新しい言い訳

ところがである。

ショルツ首相の心情を理解しないイギリスが、主力戦車チャレンジャー2戦車を提供すると発表してしまった。

この決定でショルツ首相の言い訳が使えなくなった。

するとショルツ首相、

「米国がアブラムス戦車を出すなら。」

と言い訳を変えてきた。

まさに、

「ああ言えば、こう言う。」

という形容がぴったりだ。

予想通り、

「アブラムス戦車は燃料も違う上、高度な整備が必要なので(ウクライナには)向いていない。」

と米国が声明を出した。

これを聞いてショルツ首相はさぞ、満足したに違いない。

欧州で起きている戦争なのに、アメリカの影に隠れて出てこようとしないドイツの

「臆病」

には、開いた口が塞がらない。

ピストーリウス国防相最初のスキャンダル

とは言え、内外からドイツへの

「ドイツはいい加減に、戦車の提供を決断せよ!」

という圧力は高まっている。

その圧力の

「ガス抜き」

をするため、2日前に就任したばかりのピストーリウス国防相は、

「どれだけの戦車がドイツ軍と製造元にあるのか、確認作業を行う。」

と語った。

この声明に非難が集中、ピストーリウス国防相最初のスキャンダルとなった。

質問
なんで?

 

先週、戦争が勃発したのなら話はわかります。

が、ロシア軍のウクラアイナ侵攻から11ヶ月。

今になって、ドイツ軍の防衛力をチェックする?

ドイツ政府系メデイアさえ、

「国防相の発言は、ドイツの国防政策の破綻宣言だ。」

と批判した。

批判はそれだけでは終わらない。

実はドイツ政府、プーチンの戦争勃発後、

「防衛兵器の在庫チェック!」

をすでに行っており、各機関は去年の5月に政府に報告済みだった。

その報告書には、

「ドイツ軍には212台のレオパルト2戦車があり、製造元で整備中の戦車を合わせて、19台の提供は大きな準備なくして可能。」

とあった。

ピストーリウス国防相の嘘は、24時間も持たなかった、、。

まだ就任2日目という事情を酌量しても、情けない、、。

ドイツの許可なんぞ要らぬ!

このドイツ政府の新たな嘘、もとい、言い訳に

「イライラ」

を募らせているのがバルト三国とポーランドだ。

とりわけポーランドは語気が荒い。

ちょうど韓国の大統領が

「日韓問題は永久に解決した。」

と宣言したのに政権が変わると、

「金を払え!」

と言ってくるのによっく似ている。

ポーランドも今、ドイツに戦争の賠償金を求めている。

そのポーランドは第二次大戦でドイツに侵略・占領されて

「あんなにひどい目」

に遭ったのに、ドイツ製のレオパルト2戦車を配備している。

言い換えれば、韓国が日本製の戦車を装備するようなもの。

あり得ないでしょう。

普通なら。

それほどドイツ製の戦車の評価は高い。

が、ドイツ製の武器の輸出・提供には、

「製造元の許可」

が必要になる。

ドイツの煮え切らない態度に憤慨していたポーランドは、

「ドイツが許可しなくてもレオパルト2戦車をウクライナに提供する。」

と言い出した。

反対はしない

ポーランド政府の態度で、事態が一気に流動化した。

外相はEU内で孤立するのを恐れるあまり、

「もし同盟国がレオパルト2戦車の輸出許可申請を挙げれば、反対はしない。」

と発言。

これを聞いたポーランドが、

「じゃ、輸出許可申請を出します。」

と言うと、

「何の話でしょうか。」

と外相。

朝令暮改も甚だしい。

もっとも実際に輸出許可を出すのは、そもそも通産省の管轄にある。

その通産省も、ショルツ首相を無視して許可を出す事はない。

とはいえ、外務大臣の言葉はショルツ首相への圧力をさらに増した。

加えて就任したばかりの国防相が、

「アブラムス戦車がドイツの戦車提供の絶対条件ではない。」

「決定は首相官邸で下される。」

と決断を首相に迫った。

ショルツ首相、まさか就任させたばかりの国防大臣に

「隅に追いやられる。」

とは、思ってもいかなったろう。

今、首相へのへの圧力はほぼMAXに達している。

“Zeitwende”

が建前だけでなく、ドイツの武器輸出政策に及ぶ日が意外と早く来るかもしれない。

ドイツウクライナに戦車提供を決定か?

と書いた翌日、

「ショルツ首相はレオパルト戦車の提供を決定!」

と一斉に報道された。

肝心な点、

  • レオパルト1なのか、2なのか、その両方か?
  • 何台出すのか?

が未定だが、1月25日に正式発表がありそうだ。

面白い事にショルツ首相の背中を押したのはちっぽけな隣国、ルクセンブルクの外相だった。

彼は火曜日、

「ショルツ首相はドイツのメデイアが主張しているほど、孤立していない。」

と援護射撃。

この言葉は

「まだ信じてくれる人がいる。」

と首相に勇気を与えた。

その一方で、

「この人を裏切ってはならない。」

と、この言葉が首相の背中を押した。

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執筆者:

nishi

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