2019年末に始まったコロナ禍。
ドイツでは2020年春から
「コロナ本番」
となった。
2020年と2021年の2年間、休暇に行けず、ドイツ人は憤懣やる方ない。
そして2022年の夏。
コロナ行動制限が解除されると、ドイツ人が大挙して空港に押し寄せた。
すると、
「あっ」
という間に空港機能がパンクした。
今のドイツを象徴する出来事なので、今回は2022年夏 ドイツの空港大混乱物語について紹介したい。
この記事の目次
2022年夏 ドイツの空港大混乱物語
2022年夏、ドイツの空港は大混乱に陥った。
コロナ禍で
「もう要らない。」
と大量の人員を解雇していたところに、リベンジ休暇。
空港の処理能力がパンクした。
まずは荷物を預けてチケットを発行してもらうのに、長蛇の列。
その列は空港の外にまで続いた。
やっとの事で搭乗チケットをもらうと、次の難関は
“Sicherheitskontrolle”(飛行機に乗る前の身体 & 荷物チェック)
運が良ければ1時間。
これに2時間かかるのも
「ごく当たり前」
の状態。
飛行機が定刻通りに離陸できるわけもなく、遅れが生じた。
一つの便が遅れると、次の便にも遅れが生じて、ドイツの空港は混とん状態。
ルフトハンザだけでも、2022年の夏に5000を超えるフライトをキャンセルした。
これにはその後、ストでキャンセルされたフライトは含まれていない。
ドイツ人の困った時の十八番
そもそも休暇旅行の予約数が
「ほぼ2019年のコロナ前と変わらない」
まで回復していたので、3月、遅くても4月には
「このままでは大混乱になる。」
と誰にでもわかった。
が、ドイツ人は先を読むことをしない。
敢えてドイツ人を弁護すれば、
「どうせまたコロナの変異体が出て、旅行はすべてキャンセル。」
と、高を括っていたのかもしれない。
確かに変異体は出現したが、新政府は行動制限をしなかった。
それどころが不況に悩むホテル業界を救うため、中国人とプーチンを除き、
「誰でも」
入国できることにした。
お陰でホテル業、飲食業の売り上げはほのコロナ前の状態まで回復。
これを見て空港運営会社が
「これはマズイ」
と政府に陳情を上げたのは、6月になってからだった。
その陳情の内容は、
「足らない空港の職員を、外国人労働者で解決する。」
という50年代から続く、ドイツ人の困った時の十八番だった。
2000人のトルコ人労働者で問題解決!?
ドイツ政府は空港運営会社からの陳情に応じて、トルコから2000人の労働者を呼び寄せることにした。
ちょうどコロナ禍でトルコの航空会社が倒産していたので、
「その人員を雇えば、問題は解決。」
とドイツ政府は安易に考えた。
こうして募集が始まったのが6月末。
が、夏の休暇開始による
「ドイツ人の空港襲来」
は7月から始まる。
ドイツに住んでいる方なら、
「滞在ビザを取るのに3か月かかった。」
という体験をされた方も居るだろう。
どう見ても、間に合うはずがなかった。
そして実際に間に合わなった。
8月末の時点で、労働許可証を申請したのはたったの140人。
そしてドイツの外人局が発効した
「労働許可証」
はたったの32枚だった。
失敗の原因探し
誰が見てもドイツ政府の十八番は、今回も失敗した。
失敗すると責任の転嫁が始まる。
ドイツ政府は、
「トルコ政府が労働者探しの邪魔をした。」
とトルコ政府に責任を転嫁した。
加えて、
「外国人労働者で問題を解決したい。」
と政府に陳情を出した空港が、
「やっぱり要らない。」
と、態度を180℃転換させたことも原因のひとつ。
最も人口の多いNRW州では、8月中旬に休暇が終わる。
「今から外国人労働者を送ってもらっても、遅すぎる。」
というわけだ。
おまけに政府は外国人労働者一人頭、5000ユーロという法外な
「人材紹介料」
を課したことも、空港運営会社に二の足を踏ませた。
11月までの臨時雇いで、5000ユーロの派遣手数料はあまりにも高い。
とどのつまりには、
「ドイツ語を話せて、空港で働ける身分チェックを済ませた人材は稀。」
という、ごく当たり前の事実があった。
そんなことは政府に陳情を上げる前から、わかっても良さそうな事。
まとめると
- 空港経営者の計画の甘さ
- ドイツ政府の官僚的な仕事
が、
「2000人のトルコ人労働者で空港大混乱を解決」
を完璧な失敗に導いた。
なぜこんな有様に?
空港の大混乱は、何もドイツに限ったことではない。
まだ鎖国している日本や中国を除けば、世界中の空港で混乱が生じた。
が、その中でもドイツの空港の混乱はとりわけひどかった。
これからドイツに渡航される方は、注意されたし。
皆さんが
「ドイツ通」
から聞いた
- 勤勉
- 時間を守る
- 計画性
はドイツ人とは相容れない特徴です。
今のドイツ人は
- ずるい
- 時間を守らない
- 計画性のなさ
がトレードマーク。
唯一、ドイツ人が時間をまもって計画性を発揮するのは、休暇旅行の計画のみ。