急激な金利の上昇で資金繰りが難しくなり、米国で二銀行が倒産した。
するとFRB(連邦銀行)が銀行の救済計画を素早く立案して発表。
一時は
「これで一件落着か?」
と思われた。
ところが無神経な一人の発言により、銀行の信用危機が欧州に飛び火。
大手の銀行クレジットスイスが、 バーゲン価格で買収されることになった。
この記事の目次
クレジットスイス株大暴落
事の始まりは、米国での取次騒ぎ。
リーマンショックの時とは異なり、今度は連邦銀行が素早く対抗措置を施した。
「これで危機は収まるか?」
と思ったら、今度は銀行の信用危機が欧州上陸。
震源地はスイスの大銀行であるクレジットスイス。
ここ2年、スキャンダル続きで株価はすでに過去最安値まで落ちていた。
そこにやってきたのが今回の銀行信用危機だ。
ただでも最新の注意を払って発言する必要があるのに、クレジットスイスの最大株主であるサウジの銀行はインタビューで、
「これ以上、お金は出さないよ。」
と発言。
魔の悪いことに、そのインタビューが水曜日、
「銀行の取次騒ぎが収まった?」
と安心しかけた時に公開されてしまった。
サウジの銀行はなんでこの金融不安の真っ只中に、余計なインタビューに答えたのだろう?
お陰でクレジットスイス株は一時、30%も大暴落した。
スイスの中央銀行は、
「クレジットスイスは十分な資金を保有していので心配要らない。」
「それでも足らないなら資金援助をする。」
と火消しに努めたが、あまり効果はなかった。
こういう時は
「言葉だけ」
よりも具体的な救済プランを出す必要がある。
さもないと一度、
「滑り始めた株式市場」
は落ち着きを取り戻さない。
クレジットスイス融資を受ける!
スイスの中央銀行もこれを理解したようだ、
「それでも足らないなら資金援助をする。」
と言った数時間後、中央銀行はクレジットスイスに対して
「最大で500億スイスフランケンまでの融資枠」
を設けた。
ドイツ時間で真夜中を過ぎて、ほぼ明け方の事だ。
中央銀行、それにクレジットスイスのマネージメントは徹夜で働いているようだ。
やはり金に困っていたのか?
それとも大事を取ってのことか?
この措置がマーケット(市場)をなだめる結果になればいいが、逆効果になる可能性もある。
これは週明けまで目が離せない!
UBS クレジットスイス買収か?
500億スイスフランケンの資金援助で木曜日、クレジットスイスの株価は上昇した。
が、金曜日になると再び大幅下落。
市場が神経質になっていると、
「疑心暗鬼」
になり、
「500億でも足らないかもしれない。」
と滅茶苦茶な推測をするからだ。
勿論、ネット上で不安を煽っているユーチューバーも居る。
週末、スイスの金融監督庁はライバルのUBSに、
「クレジットスイスを買収してくれ。」
と持ち掛けていると報道された。
UBSもクレジットスイスも
「嫌です。」
と断ったが、監督庁が圧力をかけて取締役会がミーテイング中。
ひょっとしたら、リーマンショック以来の大銀行の銀行合併になるかもしれない。
クレジットスイス バーゲン価格で買収される!
日本時間で3月19日深夜、
「UBSがライバルのクレジットスイスを買収する。」
と報道された。
数時間後、クレジットスイスの頭取が記者会見を開いて、
「クレジットスイスの長い歴史に終止符が打たれることになった。」
と告げた。
先週の時点ではクレジットスイスはまだ
「身売り」
に抵抗していた。
が、新たな株価の暴落でスイスの金融監督庁が、
「もう待てない!」
と判断、
「週末の間に、合併か国有化か決めろ。」
と圧力をかけたと報道された。
こうして長い歴史を持つクレジットスイスは、ライバルに買収されることになった。
UBSが払う額は、金曜日のクレジットスイスの株価の半額以下。
超~バーゲン価格だ。
おまけに現金ではなく、自社株で払うので1セントもかからない。
さらには
「万が一の際は、100億スイスフランケンまで国が責任を持つ。」
という白紙手形つき。
今後、クレジットスイスの支店はほとんど閉店になるだろう。
その後、スイスには巨大な資産を持つ大銀行が誕生することになる。
哀れ、クレジットスイス。
クレジットスイスのスキャンダル集
この買収に至るまでのこれまでの
「クレジットスイスのスキャンダル集)
を(米)ブルームバークが報道していたので、是非、ご覧あれ。