
2023年1月1日に導入された社会保障制度 Bürgergeld 。
3年も経たずに廃止が決まった。
そこで今回は、
- Bürgergeld は何故、機能しなかったのか?
- 何が変わるのか
紹介したい。
この記事の目次
ドイツの社会保障制度
日本に住んでいるので
「ドイツの社会保障制度なんて、知るわけない!」
という方も多いだろう。
そこで簡単に説明します。
“Bürgergeld”とはドイツの社会保障制度の
「生活保護」
の名前。
現行の法律では1年以上失業していると失業保険ではなく、”Bürgergeld”という名前の
「生活保護」
を受ける事になっている。
この制度が導入されたのは、2023年1月1日から。
その前は
“Harts Ⅳ”
という名前のシステムだった。
正確を期すため、政府の広報を引用すれば、
「”Bürgergeld”は廃止ではない。改正されて名前が変わるだけ。」
だそうです。
私に言わせれば、
である。
皆さんは好きなように解釈してください。
Bürgergeld 失敗の原因は?
そもそも”Harts Ⅳ”が廃止された理由は、
の三つが故。
表向きは。
こちらで書いておきました。
そこで
- 労働を拒む失業者への制裁措置を緩くして
- 受給資格を緩くして
- 受給金額を増額
したんです。
すると失業者は
「仕事しなくても生活できるし~」
と、ますます労働拒否。
“Harts Ⅳ”だったらすぐに
「受給額カット」
の制裁を課された。
が、これが大目にみられたので、ますます
「なめられた」
んです。
お陰でユーチューブには、
「仕事なんかしなくても、”Bürgergeld”で快適生活!」
なんてビデヲがあふれてます。
貧困移民の増加

“Bürgergeld” の問題はそれだけじゃない。
ブルガリアやルーマニアに住む貧困移民(主にジプシー)が
「ドイツに行けば、働かなくても生活できる!」
と大挙してやってきたんです。
その多くはマフィアがらみ。
マフィアが東欧で貧困移民を大募集。
ミニバンでドイツまで連れてくると、放棄されたアパートやマンションに住まわせます。
生活保護申請をさせると、
「手数料」
をがっぽりかしめるんです。
一人や二人じゃ大して儲からないが、数百人、数千人連れてくると大金になる!
すなわち!
が、対抗策がない。
法律でEU内外国人に生活保護申請を認めているから。
結果、”Bürgergeld”を廃止して、そのような違法な受給を止めるしか方法がなかったんです。
Bürgergeld 改め Grundsicherung
そこで新たに導入される生活保護の名前は
“Neue Grundsicherung für Arbeitssuchende”
と、日本語に訳しにくい名前。
できるだけ原語に忠実に訳すと
「仕事を探している人への新しい最低限度の生活保障」
です。
あまりに長いので
“Grundsicherung”(生活保障)
が
「通称」
になります。
何が変わるの?
では”Grundsicherung”になると、何が変わるのか?
簡単に言うと、
「”Harts Ⅳ”に逆戻り」
です。
すなわち!
労働局への出頭命令に背くと初回で
「受給額の30%カット」
です。
厳密に言うと、緊急な用事があった場合に備えて
「名誉挽回」
の機会を与えられます。
それでも出頭しないと、30%カット。
さらに!
「1ヶ月経っても出頭しないと、100%カット」
です。
又、受給資格も厳格化。
これまでは
「6万ユーロまでの財産は不問」
でしたが、減額されます。
正確な額はまだ不明。
そして違法な貧困移民を防ぐため、
「EU内外国人の受給資格」
も大きく制限されます。
いつから導入?
“Grundsicherung”(最低限度の生活保障)
は、まだ法案にさえなっていません。
連立政権を組んでるSPD と CDU/CSU が
「主要な変更点」
で同意しただけ。
これから官僚が法案を作成します。
来年の国会に提出されて議論 & 決議。
実施は早くても2026年4月1日 です。