
トランプがデンマークへ
「グリーンランド割譲」
を求めて、その脅しをスケールアップさせた。
が、短期決戦の勝者は欧州の小国デンマークだった。
一体、どうやったのだろう?
この記事の目次
大国の論理
今、世界中でほぼ同じことが起きている。
ロシアはウクライナの領土割譲を求めて軍事侵攻。
中国は台湾占領を求めて、軍事圧力を高めている。
そして今度は、
「自由諸国の旗手」
だったアメリカが
「グリーンランド割譲」
を求めて、その脅しをスケールアップさせた。
この危険な状況では、カナダの首相がいみじくも語った通り、
幻想を信じて現実逃避することは、もう役に立たない。
- 目を覚まして
- リスクを分析
- 対抗処置を取る
しか、生き延びる道が残されていない。
それも一刻も早く。
勿論、
「言うは易く行うは難し」
である。
一体、どうすればいいのだろう?
そのヒントを与えてくれたのが、トランプのグリーンランド割譲要求だった。
トランプ 軍事侵攻も辞さず
2026年1月6日。
トランプはデンマークに圧力をかけるため、
「グリーンランドへの軍事侵攻もあり得る。」
と恐喝を始めた。
その後、国防大臣は、
「軍事侵攻ではなく買収だ。」
とわずかにトーンダウンさせたが。
窮地に立たされたデンマークに
「心の支援」
を与えるため、
「有志連合」
はグリーンランドに兵士を送る事を決めた。
ドイツは13名の兵士を
“Erkundungseinsatz”(調査任務)
に派遣した。
スウエーデンとノルウエーも同様の措置を取った。
関税の脅し
これがトランプの気に障った。
1月17日。
トランプは計画を阻害する有志連合の8ヶ国に対し
「2月1日より10%の追加関税を課す。」
と発表。
この追加関税は6月1日より25%に
「是正」
され、
「米国がグリーンランドを保有するまで続く。」
と言い放った。
大国は過去の合意なんぞ、気にしません。
ロシアや中国がやっているように、
1月18日(月曜日)。
ドイツで株式市場が開かれると、輸出産業を筆頭に株価を大きく下げた。

EU 内輪もめ
実は EU は2023年に俗称
“Handels-Bazooka”(通商バズーカ)
正式名称
“Anti-Coercion Instrument”
を導入済み。
EUの通商相手が不公平な措置を取った場合に
「報復措置」
を取れる事を合法化する取り決めです。
なんという皮肉だろう。
ところがである。
ここで
「EU名物」
の内輪もめが始まった。
まずトランプ信奉者のハンガリーは大反対。
懲罰関税の対象になっておらず
「トランプのよき理解者」
とおのずから認めるイタリアのメローニ首相も反対。
一方、さんざんトランプにコケにされたマコン大統領は
「即刻発動せよ!」
と賛成派。
そう、トランプはこの内輪もめを誘発する為に、追加関税を8ヶ国だけに絞ったのだ。
そしてこれが功を奏した。
トランプ 追加関税を5日で撤回!何があった?
ところがである。
ドイツ時間で1月18日(水曜日)、トランプは追加関税措置を見送った。
今回の追加関税の告知も、わずか5日しかもたなかった。
名物
“TACO-Trade”(トランプはいつもすぐに怖気づく)
の再来だ。
しかし一体、何があったのだろう?
デンマーク 米国国債の売却
最初のきっかけはデンマークの政府ファンドによる米国国債の売却から始まった。
それも
「一部売却」
ではない。
保有している米国国債をすべて売却する方策に出た。
するとこれにスウエーデンの政府ファンドも同調した。
こうして
「天才的な思いつき」
に見えていたトランプ戦略が、ぐらつき始めた。
神風が吹く!
しかし!
トランプの追加関税を葬ったのは、よりによって高市政権の
「消費税減税の発表」
だった。
この発表により
との心配から国債金利が急上昇。

興味深いのは、米国国債金利も上昇した事。
一説には国債価格の低下を恐れたヘッジファンドが、大量に米国債を売りに出したと言われている。
こうして本来はデンマークやスウェーデンの
「効果のないジャブ」
が、高市首相の減税発表で強烈なアッパーカットと化したのだ!
3月に中間選挙を控えるトランプは今の時期の
「米国債危機」
は、なんとしても避けたい。
こうして追加関税の脅しをわずか5日で取り下げた。
一体、誰がこの展開を予想できただろう?
トランプ 関税対策
そもそも2025年4月のトランプ関税も、全く同じ理由で撤回された。
EU、あるいは日本には中国のような
「レアアースの切り札」
はない。
だからトランプは好き放題できる。
しかし!
米国は借金大国。
日本の情けない財務大臣のように、
「米国債は交渉に使わない。」
と明言した後すぐに、
「いや、実際はあり得る。」
と、前言撤回。
米国から脅されて、
「やっぱり使わない。」
と二転、三転するのでは、上げ足を取られるだけ。

