【2020年】NRW州選挙 CDU ラシェット氏の勝利
ここで何度も取り上げている通り、ノルトラインーヴェストファーレン(以下、NRW と略)選挙は、来年の総選挙を占う選挙。
かってここで敗北を喫した社会民主党(以下、SPD と略)、国会に自ら首相への不信任投票を提出して、前倒しの総選挙に打って出た。
が、(かなり善戦したが僅差でメルケル候補に)敗れた。
先回、2016年の州選挙ではSPDの州知事を破って、CDU のラシェット氏が勝利した。
参照 : SPD NRW州選挙で大敗を喫す!その原因は何処に?
今回はコロナ禍の中で選挙民が与党の感染対策をどう評価するか、そこに感心が集まった。
この記事の目次
CDU ラシェット氏の勝利 コロナが追い風に
コロナ禍は権力者の支持率を高めた。
「コロナはただの風邪だ!」
というコロナ対策で世界で第三の死者数が出したブラジルでさえ、極右首相の支持率が上昇した。
コロナ禍で支持率が下がったのは、白ロシア(ベラルース)の独裁者、トランプ、そして阿部首相だけ。それ以外の国では、権力の座にある政治家の支持率は上がった。
余程間違った政策を実施しない限り、大衆は危機の際には権力者を信用する。
これは NRW 州でも例外ではなく、ドイツで第二の感染者数を出したにもかかわらず、CDU ラシェット氏は選挙戦に勝利した。
早速、ラシェット氏は、
「私のコロナ対策が認められた結果だ。」
と、自画自賛した。もっとも同氏のコロナ対策は、
「早く、シャットダウンを終了せよ。」
という日本の経済復興対策大臣のコピーでしかなく、感染者数でわかる通り、コロナ禍を抑え込む事には失敗した。
しかし失敗を成功として売るのが、政治家の腕の見せ処。そこでまるでトランプのように、失敗したコロナ対策を成功のように自画自賛した
選挙民はその辺を見ていたのかもしれない。
勝利宣言にもかかわらず、CDU は先回の選挙より得票率を3.2%落としており、過去最低の得票率であった。
にも勝利宣言できるのだから、相手(SPD)が余程、ひどい結果を出したことが推測される。
【2020年】NRW州選挙 本当の勝者
2020年の州選挙の本当の勝者は、緑の党だった。
先回の選挙よりも得票率を8,3%も上げた。
デュッセルドルフの州議会では、SPD に次ぐ第三の政党でしかないが、地方自治体では1500もの議席を増すことに成功した。例えばケルンの市議会では緑の党が、第一党に躍進した。
参照 : WDR
その他、数多くの地方議会でも緑の党が躍進、初の緑の党の市長が誕生している。
日本では誰も関心のない未成年者による環境保護を求めるデモ、”Friday for Future”が、ここまで社会を動かした。
【2020年】NRW州選挙 敗者
勝者がいれば、必ず敗者もいるもの。
今回も敗者はSPD だった。なんと先回の悪い選挙結果よりも、さらに7.1%も得票率を落とすことに成功した。
コロナというマイナス要因に加えて、”Friday for Future”のダブルショックで過去最低の得票率を記録した。
皆まで言えば、デュッセルドルの市長もCDUに奪われた。 この敗北はただの敗北ではない。
NRW 州は、かってSPDが50年も政権を確保してきた州。その州で勝てずに、過去最低の得票率を出すようでは、他に何処で答えるのか?
かって NRW 州選挙で負けた党が、来年の総選挙でかった試しは(思い出す限り)ないので、これは来年も負け戦を覚悟しておうたほうがいい。
極右政党 AfD
極右政党の支持者、俗にうナチは、民主主義の経験が浅い、東独で多い。
西ドイツではナチスが犯した犯罪について、
「耳が痛い」
ほど学校で学ぶので、学校の成績が悪い落ちこぼれを覗くと、ナチは少ない。
とりわけ、NRW 州は人種のるつぼで、外国人だらけ。東独と違って、
「外国人、出ていけ。」
なんて言葉を浴びせられることはまずない。当然、右翼政党への支持もそれほど高くなかったが、コロナ対策が陰謀説を信じる無教養な人の反感を買った。
陰謀説を信じる人はこぞってこぞって右翼のAfDに投票した。お陰で5%の壁を突破して(5.1%)、州議会に議員を送ることになる。