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Temu & Shein ガラクタの輸入を止めろ!

投稿日:2024年5月28日 更新日:

Temu & Shein ガラクタの輸入を止めろ!

ベルギーに到着する貨物航空には Temu & Shein のガラクタが満載されている。

来る日も、来る日も。

これに対処するためEUは

「輸入品の購入価格が150ユーロ未満の場合は、関税の支払い義務なし。」

という個人輸入条項の修正に入った。

小売り革命 Temu & Shein

ドイツでは大型スーパーは生産者から野菜、果物、お肉まで直接仕入れている。

いや、買い占めていると言った方が正解かもしれない。

こうして

「欧州一の安価な価格」

を可能にした。

これを世界で初めて小売業界に転用して、

「小売り革命」

を起こしたのがTemu & Sheinなどの中国企業だ。

彼らは仲買業者を使わない

「工場販売」

で、滅茶苦茶安い値段を実現した。

もっとも品質などは二の次の

「ただ安いだけのガラクタ」

ではあったが、その価格はあまりにも衝撃的だった。

これを武器にTemu & Sheinは日本は勿論、欧州にも大攻勢をかけた。

Temu & Shein 安売り攻勢

そもそもケチで有名なドイツ人がTemu & Sheinの

「安売り攻勢」

に抵抗でる筈がなかった。

これは何もドイツだけではない。

日本でも若年層のハードをがっしり掴み、一気に販路を広げた。

その一方で国内の小売業界に大打撃を与えている。

最も典型的な例が

「Sheinによるウニクロの商品コピー問題」

だ。

 

ユニクロは海外生産ながら、ちゃんと日本で税金を払っている。

その税金のお陰で道路、鉄道、救急車や消防などの社会インフラの整備が可能になっている。

もし皆が

「安いよ!」

とTemu & Sheinばかりで購入すると税金収入が減少する。

社会インフレは劣化して、長い目で見れば自分の首を絞めることになる。

違法な手段を使う輩には、政府が対策を打つ必要がある。

150ユーロまではタックスフリー

そもそもドイツでTemu & Sheinにて注文をすると、関税はどうなるのだろう。

かってドイツでは

「22ユーロまでの輸入品は輸入関税の支払い義務なし」

という制度があった。

ドイツの関税 をわかりやすく解説 【渡独者必読!】

これが2021年7月に廃止された。

以後、EU全域で導入されたのが、

”alle Sendungen von Waren, deren Sachwert nicht höher ist als 150 Euro, zwar zollfrei (Art. 23 und 24 Zollbefreiungsverordnung), aber nicht frei von Einfuhrumsatzsteuer.”

出典 : 関税局

 

という制度。

日本語で言うと、

150ユーロ未満の輸入額の場合、関税の支払いから解放される。

 

しかし輸入売り上げ税はかかります。

 

というもの。

関税局のホームページを見て書いているので、間違いありません。

これをドイツに住む日本人は、言葉が理解できないので

「150ユーロまでなら関税がかからないよ!」

と誤解している。

輸入例

例えばですよ。

あなたがTemuで7ユーロの品を注文したとします。

これに対して輸入売り上げ税(19%)、1.33ユーロ加算されます。

「それだけなら全然、買い!」

と思ったアナタ。

これに配達業者のサービス料が6ユーロ加算されます。

わざわざ1.33ユーロの輸入売り上げ税を徴収して、税務署に収める仕事量にかかる作業量です。

すると7ユーロだったお買い得商品が、14.33ユーロ。

購入額の場合以上です。

人海戦術

これに対してTemu & Sheinなどの中国企業は

「奥の手」

を編み出した。

それが中国軍の伝統、人海戦術である。

彼らの狙いはドイツではなく、欧州の中央にある小国ベルギー。

ブユッセル空港に届く中国からの航空貨物は、Temu & Sheinのガラクタ商品がパンパンに積まれている。

あまりの量にベルキー税関は機能破綻。

いちいちチェックして関税を計算しいたら、3日かかる。

しかし数時間後には次の飛行機が着陸する。

そこで、ほぼフリーパスで配送に回わされる。

一度、EU内に

「タックスフリー」

で入った商品は輸入売り上げ税から解放されるため、ドイツの消費者にもタックスフリーで届く(かもしれない)という戦略だ。

簡単だが効果的。

この状況にEU委員会は

「不正をするものが得をすることがあってはならない!」

とTemu & Shein 対策を練り始めた。

これが1年前の状況だ。

Temu & Shein ガラクタの輸入を止めろ!

2024年5月になって、EU委員会が考えているTemu & Shein 対策がはっきりしてきた。

それは上述の

150ユーロ未満の輸入額の場合、輸入売り上げ税の支払いから解放される。

 

という条項の廃止だ。

今後は第三国(EU外の外国)からの輸入品には、お酒やたばこのように関税を課す。

EU委員会は関税をかける事で、Temu & Sheinのガラクタの輸入を止めることができると考えている。

ドイツ政府も、

「仮にそのような提案があがった場合は、反対しない。」

と声明を出している。

この規則がEU議会で可決されて施行されるのは、早くても2025年になる。

仮にそのような法改正がされた場合、日本からドイツに品を送る際の関税が心配になる。

ドイツに住む家族へ送るお土産も、同じように課税の対象になるのだろうか?

もっとも日本とEUは

「自由貿易協定」

を結んでいる。

果たして税関は、

「これは日本からだから、関税はなし(輸入売り上げ税のみ)。」

と図らってくれるだろうか?

ドイツの関税の

「石頭」

を知っている私には、ちょっと信じがたい、。

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執筆者:

nishi

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