今回のテーマは ドイツの質屋 Pfandleiher です。
大都市(人口20万以上)なら、街角のわかりやすい場所にあります。急にお金が必要になった際、銀行で融資をしてくれればいいが、時間がかかるのがネック。ましてや、お金が借りれるかどうかもわからない。
そこで短期的にお金が必要になった場合、
- 質屋
- 高利貸し
に頼むしかない。もし担保にできる品を持っている場合は、質屋に行く方が断然安くあがります。そこで今回は ドイツの質屋について、紹介いたします。
この記事の目次
ドイツの質屋 Pfandleiher とは?
ドイツの質屋の名前は、Pfadleiher、Pfandhaus, Leihaus, Pfandleihaus など、異なる名前がありますが、全部同じものです。
ドイツの質屋の歴史は17世紀まで遡ります。神聖ローマ帝国の時代に個人経営の高利貸しではなく、市が経営するちゃんとした質屋”Pfandamt”を設立するように議会で決定されたのがきっかけです。
この決定を受けて設立されたのが、なんと今日まで残っているレーゲンスブルクの質屋 “Regensburger Pfandleihe”で、今日でも営業中。
参照 : regensburger-pfandleihe.de
レーゲンスブルクの語学学校 Horizonte の向かいの建物に入っています。留学中、
「お金が足りない!」
ってピンチになったら、使ってみる?
今日ではほとんどの質屋は私営ですが、マンハイムにはいまだに市営の質屋”Leihamt”が存在しています。
参照 : leihamt-mannheim.de
利息
ドイツでは質屋で課していい利息も、ちゃんと決まっています。
これがなんと1%です。もっともこれは毎月の利息なので、年率でみれば12%です。日本の質屋の利息は109.5%ですから、高利貸しと変わらない。ましてやこの高い利息を守らず、倍もふっかける店が多いのが日本の質屋業界です。
参照 : ja.wikipedia.org
なんで日本は金融庁が監督しないんでしょうね?業界団体から賄賂をもらって、野放しにしているとしか思えません。
ドイツの質屋を利用すると、利息の他に手数料(保管料とも言います)が発生します。これも法律で決められており、1~2.5ユーロ/月です。すなわち!
100ユーロかりると、毎月1ユーロの利息+(最高で)2.5ユーロの手数料、合計3.5ユーロ/月の費用が発生します。年率だと42%の利息です。
300ユーロかりると、毎月3ユーロの利息+(最高で)2.5ユーロの手数料、合計5.5ユーロ/月の費用が発生します。年率だと38%の利息です。日本の質屋の公式利息のほぼ1/3です。
ドイツの質屋 Pfandleiher の使い方
Pfendleiher の使い方も、簡単に説明しておきます。
窓口で聞かれるのは、
”Verpfänden oder verkaufen?”
あるいは、
“Beleihen oder verkaufen?”
です。
お察しの通り、”verpfänden”と”beleihen”は同じ意味で、「担保に入れてお金を借りる。」という意味です。”verkaufen”は売る。
そう、ドイツの質屋では品物を売ることもできます。価値がある物を所有していることが条件ですが。
質入れ可能な品とは?
では質入れ可能な品とは、どんな品でしょう。
かってはテレビやパソコンなども、質に入れることができました。今ではほとんど無理です。テレビやパソコンの価格が下がり、中古品の価値が暴落しているからです。又、テレビやパソコンなどは保管に場所を取るので、嫌われます。
カメラなどは新しい物は質入れ可能ですが、3年以上経ったモデルは難しいか、いい値が付きません。毎年新しいモデルが出る品は、価値の下落が激しいです。
中古でも喜んで質入れが可能な品は、貴金属。古くなっても金の価値は下がっていないので、ほぼ間違いなく質入れできます。意外に受け入れてもらえるのが楽器。それも高級なもの。
中には高級楽器専門の質屋もあり、湿度を一定に保った管理倉庫に保管してもらえます。高級な楽器を家においていくと危険なので、休暇の前に質屋にもっていき、ここで保管してもらう音楽家もいます。
ドイツらしいことに車もよく、質に入れられます。市営の質屋では車を質に入れることはできませんが、大都市には車専用の質屋があります。
参照 : pfando.de
幾ら貸してもらえるの?
では次は皆さんが、もっとも知りたかったテーマ、
「幾ら貸してもらえるの?」
を見ていきましょう。
質屋は基本、「質流れ」をしても損をしない額しか貸してくれません。質流れをしても損をしない額とは、質に入れる品の評価額の25~50%です。このように同じ品を持ち込んでも、誰が持ち込むかで、かなり差があります。
すでに何度も質屋を利用していて、過去に質流れをしていないと信用があり、高めの査定をしてもらえます。一方、車は評価額の80%が支払われるので、まとまったお金が欲しいときは、車を質入れするのが便利。
質流れ
質に入れた品は基本、毎月、利子(と保管料)を払えば、1年でも質に入れておくこともできます。
でも毎月の支払いが遅れると、質流れします。通常は、
「〇月分の利息の支払いが滞っています。〇月〇日までにお支払いいただけない場合は、質流れします。」
という手紙が届きます。そして期日までに支払いができない品が溜まると、質屋では定期的にオークションを開催、質流れした品を格安価格で販売しています。
宝石など中古でお安く手に入れたい方は、オークションの時期をチェックしておきましょう。冷やかすだけでも楽しいですよ。
参照 : reicher-gmbh.de
以前、アウグスブルクのオークションハウスでペルシャ絨毯が、2万ユーロで落札されました。数か月後にはこの同じ絨毯がロンドンで720万ユーロで落札され、大きな話題になりました。
参照 : sueddeutsche.de
地方のオークションハウスは、価値を知らないケースがあるので、本物を見極める目があれば、掘り出し物をゲットできるかも?
例えばです。家にあった古い絨毯を質に入れて、100ユーロ借りたとしましょう。その後、質流れ。
これがオークションで720万ユーロで売れると、差額は質屋ではなく、持ち主に払い戻しされます。借りた100ユーロと利子を差し引かれて。
ドイツの質屋Pfandleiher は、日本と違って客の利益をちゃんと守ってくれますので、安心して利用できます。
オークションで掘り出し物をゲット!
オークションを定期的に開催するのは、ドイツの質屋だけではありません。
ドイツの官庁、関税局、税務署、法務局も没収した品を集めて、定期的にオークションを開催しています。その中でもとりわけ人気なのが、税金を払わなかった人物から差し押さえた車のオークション。
100台もの車がオークションにかけられるので、欲しい車が見つかるかも?官庁のオークションは事前の登録が必要で、駐車場に止めている車は、外から見るだけ。
エンジンをかけることも、ボンネットをあけることもできないので、危険は付き物。でも安いのが魅力。中古車デイーラーは、ここで安く車を仕入れて、整備してから売ってます。
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