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暗礁に乗り上げた EUメルコスール通商協定

投稿日:2026年2月25日 更新日:

暗礁に乗り上げた EUメルコスール通商協定

今回は 暗礁に乗り上げた EUメルコスール通商協定 を取り上げます。

日本では報道されなかったので、誰も知らないのでは?

でもこれは欧州(EU)名物の

「仲間割れ」

を象徴する出来事。

日本に住んでいる人にも

「EUの実情」

を、是非とも知ってもらいたい。

EUメルコスール通商協定

まずは言葉の解説から。

「メルスコール」

とは、

  1. アルゼンチン
  2. ブラジル
  3. パラグアイ
  4. ウルグアイ
  5. ベネズエラ
  6. ボリビア

の5か国で形勢する南米共同市場です。

質問
6っか国でしょ!

 

現在、ベネズエラは独裁政権の為、資格停止中なんです。

日本では無名ですがメルスコールは、

「世界で5番目にデカイ経済圏」

なんです。

インドやアセアンよりは経済規模が小さいものの、その規模は日本を上回る。

 

そこでEUは通商協定の締結を目指して、25年間も交渉を続けてきた。

賛成派 vs.反対派

いわずもがな、EUメルコスール通商協定には賛成派と反対派が居た。

賛成派は自動車業界を筆頭にした産業界。

今、EUで生産した車をブラジルに輸出すると35%の関税がかかる。

そう、あの

「トランプ税」

よりも高いのだ。

結果、ほとんど輸出されてない。

しかし!

もし EUメルコスール通商協定が締結されれば、14~18%と

「ほぼ半額」

になる。

その一方で農家 & 畜産農家は

「ブラジル & アルゼンチン産の安い農産物 & お肉が入ってくると、商売あがったりだ!」

と大反対。

左翼政党に言わせると、

「車の為に農家を犠牲にするのか!」

というわけだ。

そしてこのスローガンは効果覿面だっだ。

しかし!

EUメルコスール通商協定にて

「輸入関税が7.5%に下げられる牛肉は9万9000トンまで。」

となっていた。

これはEU全域での消費量のわずか1%。

 

ちなみに日本に輸入されている牛肉は、全体の消費量の60%。

 

これだけ多くの牛肉が輸入されているのに、国産牛肉は高値維持。

しかし農家 & 畜産農家は、EUメルコスール通商協定に大反対した。

当然、フランスを筆頭に農業・畜産農家の多いポーランド、オーストリア、ハンガリーなどは、EUメルコスール通商協定に反対した。

暗礁に乗り上げた EUメルコスール通商協定

先に進む前に欧州での

「政治勢力図」

を理解しておく必要がある。

もう10年以上も欧州全域で左翼政党は苦戦中。

質問
なんで?

 

極右政党に押されて、

「ジリ貧」

なんです。

同じく支持を失っているのが緑の党。

景気がよければ、

「もっと環境保護を!」

と言う余裕もあるが、

「勤めている会社が倒産するかもしれない。」

という不安の下、さらに企業の負担を増やす

「環境保護政策」

に市民は食指が伸びない。

この

「ジリ貧」

の政党はEUメルコスール通商協定を

「勢力挽回の絶好の機会」

と考えた。

EUメルコスール通商協定 最高裁で審議?

にも拘わらずEU加盟国は

「賛成多数」

で、メルコスール通商協定の締結に賛成。

そして2026年1月17日、めでたくEUメルコスール通商協定が署名(締結)された。

参照 : tagesschau.de

 

トランプ関税に苦しむドイツの産業界は、この新しい市場への参入を大いに喜んだ。

が、その喜びは長続きしなかった。

左翼政党がEU議会に

「EUメルコスール通商協定は欧州裁判所で審議されるべき」

との議題を出したのだ。

これに緑の党が相乗り。

すると

「漁夫の利」

を狙った極右政党が、この議題に賛成票を投じた。

結果、324票の反対票に対して、334票の賛成票でこの議題が採決された。

どうなる メルコスール通商協定

EugH(欧州裁判所)でEUメルコスール通商協定を審議すると、2年かかる。

運よく、

「欧州の法令に抵触しない。」

という判決が出ても、メルスコール側が、

「そんなに待ってられない。」

と協定を破棄する可能性もある。

もしEUのリーダーに

「指導力」

があれば、

「欧州裁判所の判決が出るまでの、仮想措置」

としてEUメルコスール通商協定を実施させてしまうこともできないわけではない。

が、EUのリーダーに(オリバーカーンの言葉を引用すれば)


「タマタマがあるだろうか。」

永遠に終わらない仲間割れ

これがEUが経済力では中国と

「ほぼ同等の経済力」

があるのに、

 

その政策(政治力)では、はるかに及ばない原因だ。

EU加盟国間では仲間割れが絶えない。

カナダとの自由貿易協定でも仲間割れ。

CETA 欧州 カナダ 自由貿易協定 – ヴァロニーの抵抗

ダメ押しすれば、EUの時期主力戦闘機構想FCASも同様に座礁した。

FCAS EUの夢 第5世代戦闘機は計画倒れ?

今、トランプ関税でドイツ経済はどん底にある。

こんな時こそEUメルコスール通商協定が必要なのに、

「自身の利益よりも、EU全体の利益を優先!」

と考えず、

「経済不況を利用して、勢力の回復を図るべし!」

と、またしても仲間割れ。

終わってます、、

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執筆者:

nishi

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