トランプが始めた関税戦争。
これに早々に白旗を上げた日本。
その日本と対照的な反応をしているのが、中国だ。
即座に懲罰関税で対応し、
“kämpfen bis zum bitteren Ende”(最後までお付い合いします。)
と宣言。
何故か、頼もしさまで感じてしまう。
この関税戦争に勝つのはどちらだろう?
この記事の目次
相互関税導入
トランプ政権は4月2日、世界の交易国に対して
“reciprocal tariffs”(相互関税)
の導入を宣言。
世界に対して
「関税戦争」
をおっぱじめた。
ここでも日本人の
「ナイーブさ」
が如実に出た。
不思議なことに日本人は、
「日本だけは例外扱いされる。」
と確信していた。
ところが日本には24%の関税が課された。
EUには20%の関税なのに!
大ショック!
政府はそれから大急ぎで、対策本部を立ち上げる本末転倒振り。
そう、日本政府は全く関税が来る事を見えていなかったのだ!
なんという
「ど素人集団」
だろう。
早々に白旗を上げた日本
その日本に対して中国から、
「日本、韓国、中国で共同して対抗しよう!」
という問い合わせがあった。
ところが日本政府はこの申し出を固辞。
次いでEUから
「一緒に共同して対抗しよう!」
という問い合わせがあった。
ところが日本政府はこの申し出も固辞。
そう、この時点でも日本政府は
「日本だけは例外措置を施してもらえる。」
と、ロマンス詐欺に遭った中高年層と同じ、
「淡い期待」
を抱いていたのだ。
これを
「井の中の蛙」
と言わずして、なんと描写すればいい?
挙句の果てに石破首相は国会で、
「米国の関税に対して対抗措置は取らない。」
と、早々に白旗を上げた。
米国 vs. 中国 関税戦争
その日本と対照的なのが中国の反応だ。
中国政府は米国に対して懲罰関税の導入を発表した。
それも即座に!
何処かの国と違い、首脳部がちゃんと現実を見て対策を練っていた証だ。
その際の中国政府のコメントが、
“kämpfen bis zum bitteren Ende”(最後までお付い合いします。)
というもの。
このコメントは中国共産党の
「長征」
を彷彿とさせる。
「どんなに長く辛く、危険な道でも、関税戦争に勝つまで最後までやり届ける。」
という固い決意を感じさせた。
中国政府の対米制裁
中国政府の関税戦争への反応は、懲罰関税だけに留まらず、
- レアアースの禁輸措置
- 米国債の大量売却
- 米国産農産物の関税値上げ
という
「念には念を入れた」
ものだった。
米国のハイテク産業はもとより、国防産業まで中国からのレアアースの輸入がなければ
「開店休業」
となる。
だからトランプはウクライナと地下資源条約を結び、
「いざ、鎌倉」
の際に備えようとした。
これがまだ
「準備段階」
の今、レアアースの禁輸措置は米国にとって痛い。
さらに!
中国は日本に次ぐ
「世界で第二の米国債保有国」
だ。
中国政府はその米国債を大量に市場に放出した。
その結果、米国債の利率はうなぎのぼり!
そもそも米国は関税戦争を引き起こし、
「国債の利率を下げて、財政を改善させる。」
と目論んでいた。
関税戦争の初期は、まさにその目論見が成功して利率は3.9%まで下げた。
ところが中国政府の対米制裁で4.5%を突破。
これが4,8~4,9%付近まで上昇すると、米国の国家財政は急激に悪化する。
2009年のユーロ危機ではギリシャの国債の利率が5%を超え、ほぼ破産しかけた。
ヘッジファンドによる大量売却
米国債の金利上昇に
「寄与」
したのが、ヘッジファンドによる米国債の大量売却。
というのも同じ米国債でも、市場により
「わずかな価格差」
がある。
しかし
「塵も積もれば山となる」
で、大量に売り買いすれば確実な利益を出すことができる。
そんな取引(ほぼ賭け)を
“Arbitrage”
という。
トランプが始めた関税戦争でヘッジファンドは
「大損する可能性がある。」
と賭けていた国債をすべて売却。
これも国債の
「利上げ」
に貢献した。
お陰でトランプは、相互関税の90日停止措置を余儀なくされた。
関税戦争 米 対中50%の追加関税
この中国政府の報復に、トランプはさらなる追加関税で応じた。
これまでの関税の合計は54%。
4月9日からはさらに50%の追加関税が課されて、
「104%の対中関税」
となった。
これに中国政府の反応(報復関税)が続くことは、間違いない。
と書いた数時間後、中国政府も関税を50%上乗せ、
「米国からの輸入品には84%の関税を課す。」
と発表した。
我々は
「垣根の客」
として、中国と米国がボロボロになるまで戦っているのを観戦できる。
勝つのはどっちだ!
では米国と中国の関税戦争、勝つのはどっちだろう。
経済力では米国が上だが、中国には
- 米国債
- 米国産農産物
という切り札がある。
中国が米国産農産物の輸入を減少すると、トランプの
「票田」
である農家は苦しみ、来年の中間選挙で負ける。
本当に中国を怒らせたら、米国はかなりの痛手を負うだろう。
その結果、
「関税戦争に勝者は居ない。」
という簡単な事実を学ぶことになる。
漁夫の利を得よ!
勿論、日本は
「中国と米国の関税戦争」
を高見することができる。
しかし!
日本もトランプの関税戦争の被害者である。
言い換えれば
「敵の敵は味方」
だ。
そこで中国政府に
「こっそり援護射撃」
する事で、
- 中国に恩を売れる
- 日本政府の交渉の立場が有利になる。
という利点がある。
というのも日本は米国債の最大保有国。
日本駐在中国大使に
「裏で応援しますよ!」
と伝えてから、米国債を売却すればいい。
直接、
「手を汚したくない。」
というなら、ヘッジファンドに依頼する方法もある。
日本の交渉団が米国に到着する際に金利が4.9%まで上がっていれば、立場は反転する。
米国はどうしても
「取引する必要」
がある。
そんな裏工作もしないで、
「関税を下げてください。」
だけでは、とんでもない高いお買い物を迫られる。
関税戦争 トランプの目標
では関税戦争をおっ始めたトランプの
「企図」
は何処にあるのか?
参考になるのは、ベトナムとEUのトランプへのオファーだ。
ベトナム政府は、
「米国製品の関税をゼロにすます。」
と白旗を上げた。
このベトナムのオファーをトランプは拒否した。
同じくEUが、
「お互いの関税をゼロにしようじゃないか!」
という提案も拒否した。
これを見ればトランプの関税戦争の目的が
「不当な関税の撤廃」
にないのは確かだ。
すなわち!
日本やEUには
「そもそも売ることができないほどの」
- 米国産のオイル
- LNG(天然ガス)
- 米国産農産物
の大量購入を求めてくる。
そして交渉材料のない石破政権は、これを呑むしかない。
トランプは認知症?
ここにきてトランプの
「健康問題」
がテーマになってきている。
野球選手をホワイトハウスに招いた際、言葉を無くして狼狽していた状況に周囲が大いに焦った。
そういえば選挙戦の演説でバイデン大統領を何度も、
「オバマ大統領」
と呼んだことは記憶に新しいが、言葉を無くすことはまだなかった。
明らかに病気が進行している。
あまりにひどいので、4月11日に健康チェックを受けることになった。
私の家族は
「認知症の家系」
なので、親族に認証患者が多い。
一度、認証症が発症すると
「坂道を下るように」
認知症が進行する。
2年も経つとトイレに行けず、おもらしをするようになる。
そして認知症の初期段階では、普段は平気なのに、突然言葉に詰まり全く言葉が出てこなくなることがある。
まさにトランプの症状と一致する。
そう考えると、トランプが大統領の任期を全うする確率はかなり低い。
ましてや
「三度目の立候補」
など夢のまた夢。
中国には、
「忍耐強く待ちさえすれば、憎い敵の水死体が河を下ってくる。」
という言い回しがある。
まさにその通りになるかもしれない。