投資 雨にも負けず

止まらない円安 上昇する長期金利 どうする日本銀行?

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今、日本銀行を悩ませている 止まらない円安 & 長期国債の利率の上昇。

もっともこれは、政府主導の金融政策が原因。

言い換えれば自業自得。

しかし日銀の金融政策は我々の生活に直結する。

そこでもうちょっと興味をもってもらう為、今回は

  • 止まらない円安
  • 上昇する長期金利

について記事を書きます。

止まらない円安 元凶は上田総裁

今年のゴールデンウイークは何処に行きました?

皆さんが家族と、あるいは恋人と楽しい時間を過ごしている時、日本の通貨は危機的な状況にあった。

金融市場は

「日銀の金融政策会合で、何か政策変更があるかもしれない。」

と円売りを控えていた。

ところが日銀の植田総裁は記者からの

円安が物価上昇に寄与しているとは、考えていないんですね。

 

との質問に

「はい。」

と超マズイ回答。

投資家は、

「日銀が円安を容認したぞ!」

と解釈して、一気に円安が進んだ。

160円を突破した時点で、日銀が介入した。

質問

どうやって?

ドルを売り、円を買ったんです。

効果覿面。

一気に円が156円台まで戻ったが、数日後にはまた159円台に。

そこで

「日銀のゴールデンウイーク中の市場介入」

となった。

介入に使用されたのは9.8兆円。

 

上田総裁が余計な事を言わなければ、節約できた金だった。

金融介入の功罪

日銀の金融介入から1ヶ月半。

今、日本円は1ドル=157円台。

米国での

「年内の金融緩和期待」

が手伝って、160円を超える超円安はなんとか阻止できている。

加えて

「160円台に突入したら、また介入があるかもしれない。」

と日銀の金融介入の心配から、投資家は思い切った円売りに踏み出せない。

神田政務次官の

「必要とあれば、いつでも介入する用意がある。」

という警告がある程度利いている。

 

彼が日銀総裁だったら、9.8兆円もの市場介入は必要なかったろうに。

止まらない円安 の波及効果

お買い物に行く度に、食料品の値上げを目にする。

6月からは電気代もあがるし、、。

すべてが円安が原因ではないが、エネルギー価格の上昇は主に円安が原因だ。

エネルギー価格が上昇すれば、食料品価格も上昇する。

これに対抗するために金融介入する日銀。

だったら、

質問

何故、未だに金融緩和政策をとっているのか?

って思いませんか?

金融緩和すると円安になります。

すると市場介入して円を購入して、ストップをかける。

そんな金のかかる措置ではなく、円安を解消したければ、金融緩和政策を辞めればいい。

日銀のジレンマ

ところがである。

今の日本の景気回復は、円安による輸出企業の業績改善のお陰。

中国経済が失速している今、円高になるとまた

  • 不景気
  • デフレ

に戻ってしまう。

だから金融緩和はやめられない。

でもこれ以上円安が進むと国民の生活を圧迫して、岸田政権の命取りになる。

だから日銀は火種(円安)が消えないように風(金融緩和)を送り続け、これが大火(大幅円安)になったら神田政務次官に消防隊長を演じさせる

「支離滅裂な金融政策」

を取っている。

来るか?金融政策の変更

海外の投資家は日本銀行のジレンマに理解がない。

まあ、そもそも理解を求める方がおかしいが。

彼らはいずれ日銀は

  1. 金融緩和政策のスローダウン
  2. 金融緩和の中止
  3. 利上げ

に移行していると考えている。

1.が始まれば、円安は(多少)抑え込むことはできる。

しかしその一方で日本の国債の長期金利が上昇することになる。

株式市場はこれを

「織り込んで」

おり、すでに日本の長期金利は上昇中だ。

国債長期金利推移

抜粋元 : SBI証券

 

先月、前人未到の1.1%を記録した。

米国の長期金利の4.2%に比べると、

「全然低いから心配要らない。」

と思いますよね。

ところがどっこい。

米国はとっくに金融緩和を辞めて、FRB(連邦銀行)が買った国債も処理中。

日本はまだ金融緩和のど真ん中なのに、

「日銀は金融政策の変更を迫られる。」

との予測だけで金利が上昇している。

その日銀は6月14日、金融政策会議の結果を発表するが、

「金融政策の変更」

を発表する可能性が高い。

すると長期金利はさらに上昇する。

「長期金利が上昇すれば、貯金に利子がついていい事ばかり。」

と思われている方、その通りです。

健全な経済システム下では。

でも日本の経済システムは健在じゃない。

日本経済は米国のようなイノヴェーション主導型ではなく、円安頼み。

この

「元気の源」

がなくなると、景気の悪化は避けられない。

上昇する長期金利 どうする日本銀行?

しかし長期金利上昇による最大の懸念は

  • 不動産ブームの終焉
  • 国債の価値低下による銀行の採算悪化

のふたつ。

先日、

「東京23区の新築マンション価格(平均)1億突破!」

という華々しいニュースが流れた。

不動産業界の大盛況は、日銀の金融緩和の賜物。

長期金利が上昇すれば徐々に購入者が減り、需要と供給が逆転する。

もっともその前にやってくるのが、国債の価値低下による銀行の採算悪化だ。

2023年春、米国で

「銀行信用危機」

が発生。

覚えてますか?

地方銀行が2行経営破綻、一行は緊急強制買収された。

その原因は金利の急激な上昇。

低い金利の長期国債の価値が下落、これを所有する銀行の

「資産価値」

も下落して、銀行信用危機に発展した。

全く同じことが日本で起きる可能性がある。

日本の銀行には金利0.05~0.06%の国債が多く眠っている。

しかし今なら金利が1.0%。

倍の金利。

当然、

「0.05%の金利の国債が欲しい。」

という人は皆無。

銀行は大量の不良債権を抱え込むことになる。

だから急激な金利の上昇は避けなければならない。

が、マーケットは日本の事情に構ってくれない。

日本銀行どうする?

止まらない円安 日銀金利政策会合

上述の通り日銀は6月13日、14日、

「今後の金利政策」

について協議した。

そこで決定されたのは予想していた通り、

「金融緩和をスローダウンする。」

というものだった。

「と~っても日本的」

だったのは、国債の購入額をどの程度減らすのか明言を避けて、

「相応の額」

とだけ言った事。

これがFRBやECBならはっきり額とその開始時期を述べる。

市場が期待していた

「具体策」

がないので一瞬、円安に振れた。

が、すぐに会合前の値に戻ってきた。

為替レートの推移

抜粋元 : fx.minkabu.jp

 

結局の所、

「次回の金融政策会合まで何もわからない。」

という内容だった。

円安に苦しむ中小企業や国民の負担軽減を第一に考えているなら、もうちょっと違った金利政策決定だったろう。

金利上昇は株式市場の毒

勿論、日銀は金融緩和をスローダウンするよりも、金利を上げた方が円安をてっとり早く退治できる。

しかし日銀は日本経済への

「ボデイーブロー」

を厭い、金融緩和をスローダウンするこにした。

来る9月には金利を上げるというのが市場の読み。

しかし株式市場にとって、金利の上昇は毒。

一回、二回の小幅な上昇はそれほど問題はないが、これが三回、四回と続くと要注意。

新Nisaで初めて株式投資を始めた人に、

“An Gewinnmitnahmen ist keiner gestorben.”(利益確保で死んだ人は居ない。)

というドイツの格言を紹介しておきたい。

-投資, 雨にも負けず

執筆者:

nishi

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