ドイツの達人になる 金銭 & 税金

失敗しない 自己破産 – たったの3年で借金帳消し!

投稿日:2019年12月18日 更新日:

失敗しない 自己破産 - たったの3年で借金帳消し!

今回のテーマは 自己破産 。

ドイツでもカードや分割払いで手軽に買い物、挙句の果てに、返せない負債を抱え込む人が増えています。

とりわけ

「若い成人層」

にその傾向が顕著です。

その1/7が

””überschuldet”(返せる能力を超える借金を抱えている)

と言われています。

そんな人に残されている最後の手段が自己破産。

そこでここでは

「ドイツでの自己破産」

について、紹介したいと思います。

失敗しない 自己破産

ドイツでの自己破産、正式には

“Verbraucherinsolvenz”(消費者自己破産)

と呼ばれています。

この制度が導入された根底には、

払えもしない負債を一生かかえて生きていくのは、誰の得にもならない。

 

という考えでした。

それよりも数年でさっぱりと借金苦から脱却できれば、

  1. 社会に復帰できて
  2. 人生を再スタートした方が、経済効果が高い

という考え方が基本にあります。

確かに、

借金苦で悩んでいる何十万という人が社会に復帰できる方が、経済効果が高い

 

ですね。

実にドイツ的な考えですけど。

自己破産 手続き

自己破産の手続きを開始するには、幾つか条件があります。

一番大事なのは以下の2点。

  1. 債権者を一人残らず把握しており、これをちゃんと申請書に記載している事
  2. 官庁への借金がない事

簡単なように聞こえて、これが大変な作業なんです。

というのも借金に悩んでいる人は、往々にして現実から目を閉ざして、催促の手紙を読まないんです。

せめてこれを何処かに保管していればいいが、そうでない場合は、

「借金の把握」

から始めなくてはなりません。

「あ、ひとり忘れてた。」

なんて事になると、自己破産手続きは無効になります。

又、役所(税務署等)への借金はすべて返済してあることが条件。

もし、

スピード違反の罰金の未払いの請求が発覚すると、自己破産手続自体が破産します。

借金カウンセラー / Schuldnerberater

こうした

「自己破産宣告の書類作成」

は素人には無理です。

そこで通常は、

“Schuldnerberater”(借金カウンセラー)

に相談します。

これは弁護士が行うケース(有料)もあれば、公益団体が無償で提供しているケースもあります。

当然、人気のあるのは無償のカウンセラー。

問題はここから。

ドイツでは20歳以上のドイツ人の10%、ほぼ7百万が債務能力を超える借金を抱えています。

 

結果、無償のカウンセラーは2か月先まで予約で一杯です。

大都市になると3か月先まで。

早く相談したい人は、弁護士に相談することになります。

弁護士に頼むと幾らかかる?

もし弁護士に借金カウンセリングを頼む場合は、裁判所に

“Beratungshilfeschein”(カウンセリング券)

の発行を申請することができます。

にも拘わらず裁判所が、

「無料相談所に行きなさい。」

と言われたら、空席が出るまで待つしかありません。

その一方で運が良ければ、

「はい、1枚15ユーロ。」

と、カウンセリング券を発行してもらえるケースがあります。

そんなラッキーなケースなら、たったの15ユーロです。

調停

カウンセラーの最初の仕事は

債務者の借金の全体像を把握して、債権者と和解を図ること。

 

そう、まずは自己破産ではなく、和解で問題解決を図ります。

しかし和解するには、(目安として)借金が2万ユーロある場合は、その1/10の2000ユーロほどの資金が必要です。

質問
なんで?

 

債権者にしても自己破産されたら、一銭も入ってきません。

それよりは1/10でも入ってくれば、和解に応じることがあります。

その資金がない場合、あるいは債権者が和解に同意しない場合は晴れて(?)、自己破産の申告を裁判所に上げることになります。

自己破産 費用

「なんで?」

と思われるかもしれませんが、自己破産にはお金がかかります。

借金を返せないので自己破産するのに、お金がないと破産できないんです。

 

違和感がありますが、これには裁判所の判断が必要になるので、仕方ないかもしれません。

その費用は1800ユーロから2500ユーロまで。

費用が大きく異なるのは、債権者の数により審理が複雑になるからです。

2~3人の債権者なら安くあがります。

これが20人、30人といる場合は、2500ユーロ覚悟してください。

尚、分割払い可です。

たったの3年で借金帳消し!

こうした数々のハードルをクリアして6年間辛抱すると、自己破産手続きは終了。

晴れて

“Schudenfrei”(借金なし)

となる。

ただし!

この審査機関中に、新たな借金を抱え込まないことが条件です。

 

だったんですがドイツでは、

「早く借金なしになって、また消費をしてくれたほうが経済効果が高い。」

と考え直し、2014年に法改正がありました。

お陰ですでに3年、あるいは5年で借金が帳消しになることも可能になりました。

3年で借金帳消しになる条件

まずは3年で借金が帳消しになる方法から。

それには、

  1. 借金総額の35%を債権者に返却している
  2. 裁判費用を支払い済

という条件です。

これが無理な場合は、

「5年で借金帳消し」

となります。

5年で借金帳消しになる条件

5年で借金が帳消しになる条件はひとつだけ。

それは

裁判所に自己破産費用を全額払っていることが条件です。

 

ですから現行では、ほぼ5年で借金帳消しになるわけです。

EU借金帳消し令 / EU-Restschuldbefreiung

ところがEU委員会には、

「まだ長すぎる。」

と自己破産に必要な期間に不満。

2019年11月、EU委員会は

「借金からの解放を3年で可能にすべし!」

という決定を下しました。

参照 : schuldnerhilfe-direkt.de

EU委員会は加盟国にこの規定を、2021年までに自国の民法に適応することを求めている。

すなわち遅くてもこの2022年以降は、基本的にドイツでも3年で借金が帳消しになるようになる(筈)だ。

その際、加盟国がどんな条件をつけるか、これにはある程度の自己裁量が許されている。

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執筆者:

nishi

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