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大手旅行会社 FTI倒産 どうすりゃ~いいの?

投稿日:2025年4月17日 更新日:

大手旅行会社 FTI倒産 どうすりゃ~いいの?

大手旅行会社 FTI倒産!

よりによってドイツ人の一年の最大のイベント

「夏の休暇旅行」

の前に!

そんな時、どうすればいいのか?

ここで説明します。

ドイツ人の一年の最大のイベント

ドイツ人の一年の最大のイベント

ドイツ人の一年のメインイベントは夏の休暇旅行。

質問

クリスマスじゃないの?

うんにゃあ。

クリスマスは冬の寒くて、真っ暗な時期の

【宗教行事】

です。

楽しみというよりは義務。

でも夏の休暇旅行は違う。

仕事から離れて、自分の好きな場所で、自分の好きなことができる。

だからドイツ人は1年中、

「来年の夏の休暇旅行は、、。」

と考えてます。

少しでも安くあげるため、もうクリスマスの前に夏の休暇旅行をブッキング。

その際、往々にして学校が休みになる前に出発日を計画します。

学校には、

「体調が悪い為、休ませます。」

と電話して空港に行くんです。

この為、ドイツの空港では学校をさぼって休暇旅行に行く家族を取り締まる警察が、にらみをきかせてます。

世界中探しても、

「仮病を使って子供に学校を休ませても、休暇旅行に行く。」

のはドイツ人だけ。

大手旅行会社 FTI倒産

そして

「夏の休暇旅行まで、あと指折り数えるだけ。」

となった6月初め、大手旅行会社FTIが倒産した。

そのFTIはミュンヘンに本店を置く、業界三位の旅行会社。

参照 : FTI

 

しかし90年代から

倒産 ⇒ 買収

を繰り返してきた。

コロナ禍では国から6億ユーロもの補助金をもらって生き延びた。

しかし、倒産させるべきだった。

というのもコロナ禍が収まっても、会社は相変わらず大赤字。

経営陣も

「もう駄目ぽ。」

とさじを投げ、競合他社に売却されることになった。

ところがその際の調査で、社長から会社役員まで過去に

「詐欺で有罪判決」

を受けた犯罪歴があることが発覚した。

社員じゃないですよ。

社長と役員です。

コンプライアンス違反です。

結果、買収はご破算に。

最後は投資ファンドが

「1ユーロ」

で会社を買収する話が持ち上がっていたが、話がまとまる前に会社の運営資金が底をついた。

来るべくして来た倒産だった。

過去の教訓

かって90年代に大きな旅行会社が倒産したことがあった。

多くのドイツ人がお金を失った。

これを教訓に、

「旅行主催者は倒産保険に入るべし。」

と定められた。

ところがである。

休暇旅行は50万円~60万円もする。

家族なら100万円はくだらない。

そこでEUは

「万が一の際に備えて、倒産保険の保証額を引き上げるべし。」

と議会で決議。

これを加盟国に通達していたのに、ドイツ政府はこれを無視。

そこで起きたのがトーマスクック倒産である。

トーマスクック 倒産 – ドイツ政府 損失を補塡!

案の定、古い保険の補償額では、客が払い込んだ金額をカバーできなかった。

「これは訴えられる、、、。」

と悟ったドイツ政府、差額分を補填する決定を下した。

これを教訓にドイツ政府はやっと、旅行主催者倒産時の休暇旅行の保障額を引き上げた。

大手旅行会社 FTI倒産 どうすりゃ~いいの?

FTIは倒産発表後、出発前の休暇旅行をすべてキャンセルした。

「どうすりゃ~いいの?」

と途方に暮れている方、あなたは(まだ)ラッキーです。

今は旅行会社が

”Deutscher Reisesicherungsfonds”(略 : DRSF ドイツ旅行保証ファンド)

に保険をかけているので、DRSFに保険金を請求するだけです。

勿論、ドイツの事ですから、そんなに早くはいきません。

しかし請求をあげれば基本、払ったお金は戻ってきます。

 

いわずもがな、旅行代金と一緒に払った保険料は戻ってきませんよ!

でも

「ご愁傷様」

なのはFTIで

  • フライトチケットだけ
  • ホテルだけ

を買った客。

倒産保険は

”Pauschalreise”(パッケージ旅行)

に申し込んだ客だけ。

自分で旅行を計画した人、払い込んだお金はパーです。

他人の不幸は、、、

tui 株価

世の中、誰かが墓穴を掘ると、それにより得をする者が居るもの。

FTI倒産も例外ではない。

質問

誰が得をしたの?

世界一の規模・売り上げを誇る旅行会社TUIです。

FTI倒産のニュースに株価は一時7%上昇。

FTIの

「まだ出発していない旅行はすべてキャンセルするので、他社でブッキングして!」

との呼びかけに、TUIの社長室ではシャンパンのコロクが開いたに違いない。

早速、TUIはFTI倒産により夏前に

「空室」

となったホテルを格安価格でゲット。

これをこれから予約してくる客に、

「ほぼ同じ価格で販売します。」

という。

ドイツ企業の言う

「ほぼ同じ価格」

がどんな価格なのか、改めて述べるまでもない。

これでTUIの2024年度の業績は大幅黒字間違いなし!

株買ってて良かった~。

-ドイツの達人になる, 規則、法律

執筆者:

nishi

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