ドイツで物乞い をしている人は多いです。
ウイーンなどの大都市に行くと、ほとんどタイと変わらないくらい、多くの物乞いを目にします。
こうした物乞いをみた日本人が最初に抱く疑問は、
「儲かるんだろうか。」
というもの。
そこで、
- ドイツでは物乞いは合法なのか。
- 日本人でもやっても構わないのか
- 儲かるのか
という点を解説していきたいと思います。
この記事の目次
ドイツで物乞い は合法なの?
ではまずは、
「物乞いは合法なの?」
という法律上の観点から見ていきます。
ドイツでは現代になるまで、物乞いは禁止されていました。違法という事です。原因は第三帝国時代に決められた法令で、これがそのままドイツ連邦共和国に引き継がれたためです。
ようやく1974年に法律の改正があり、物乞いは合法とされ、今日まで変わっていません。
違法の物乞い 合法の物乞い
物乞いが合法とは言っても、
「何をしてもいい。」
というものではありません。
合法な物乞いは、このページのトップ写真のような形。すなわち通行人に話しかけず、お金がはいってくるのをじっと待つ形です。
違法な物乞いは、”Aufdringliches Betteln”と言うもので、
「小銭、おくれ。」
と通行人に話かけたり、容器を鼻先に突き付ける形。こうした物乞いは、
「執拗な物乞い」
と呼ばれ、禁止されています。
ドイツで物乞い 誰でもやっていいの?
次は、「(ドイツで)物乞いは誰でもやっていいの?」
という問題を検証します。
皆さんは、どう思いますか?
大方、皆さんが推測している通り、誰でもやっていいです。
ただしまるっきり、条件がないわけじゃない。
その条件とは、
- ドイツに滞在する権利、滞在許可を所有している
- あくまでの自分の為にする
です。すなわちドイツ留学して滞在許可証を持っていれば、基本、物乞いしても法には触れません。
もうひとつの、「自分の為にする。」は意味を飲み込むのがちょっと難しいと思います。
物乞いマフィア
お金が流れるところには、組織犯罪、マフィアが存在しています。
日本人に人気のないドイツの有料トイレ。払うお金は掃除をする人ではなく、トイレ マフィアの大事な収入です。
同様に物乞いマフィアという組織犯罪が存在しています。
参照 : br.de
ルーマニアやブルガリアなどで貧しい村々を回り、乞食役をミニバンに詰め込むと、ドイツやオーストリアまで大遠征。人通りの多い場所で、物乞いをさせます。
タイの街角で見かける物乞いのほとんどは、このパターン。夕方になるとミニバンに乗って出動、交差点などで止まると、そこから子連れの物乞いが下りてきます。通常は朝まで働かされ、明け方に車で回収されます。
こうした組織犯罪を根絶する為、自分の為でない物乞いは禁止されているわけです。
もっともドイツ国内で、物乞いマフィアとして告発された件数は一桁に留まっており、物乞いマフィアの数はそれほど多くないようです。
ドイツで物乞いって
儲かるの?
最後は一番関心の高いテーマ、
「物乞いって儲かるの?」
を検証しましょう。
この仕事でも一流の物乞いと、そうでない物乞いに分かれています。
ドイツに住んでいる方は、
「働くよりも、物乞いの方が儲かるぞ。」
なんてフェイクニュースを聞いたことがある筈。嘘です。騙されませんように。
ドイツのテレビ局が、
「物乞いは幾ら稼げるのか?」
というテーマでランツベルクの街で実証実験。そのテーマは、
- どの方法が一番儲かるのか?
- 一体、幾ら儲かるのか
でした。
物乞いテスト – 一番儲かる方法は?
物乞いテストにあたり、以下の三通りで実験を行いました。
- 帽子を前に置いて座っているだけ
- 看板を掲げて座っているだけ
- 積極的に話しかける
一番儲かったのはどの方法だったでしょう?
一番儲かったのは、2番目の方法でした。
「全部失った。小銭を恵んでくだせえ。」
と段ボールに(ドイツ語で)書いて数時間座ってるだけで、21.20ユーロ。
看板がないと15.20ユーロ。
収入が一番悪かったのは、積極的に話かける方法で1.50ユーロ。
仮装とは思えないほど巧く路上生活者を真似をしたレポーターは、
「人々に強要するのではなく、恵を与える、与えないの選択肢を与えることが重要だ。」
と、結論を出していました。
テストを行ったのは、ランツベルクという人口3万人の小さな街。
同業者が少ないという利点はあったものの、通行人の数が少なすぎます。これをミュンヘンなどの大都市でやれば、もっと増えそうです。
もっともレポーターが、魅力的なドイツ人男性だったという点も考慮しなくてはなりません。
お金を恵んでくれる人は、
「一体、何があったんだい。」
と身の上話を聞きたい事も判明。ドイツ語ができないと、圧倒的に不利。結果としてルーマニアやハンガリーのジプシーには、恵む人も少なくなります。
何故、物乞いをする?
冒頭で述べた通り、ドイツの大都市の街角は物乞いで一杯です。
結果、ドイツ人の路上生活者と外国からやってきたジプシーやローマが、いい場所を取り合っています。
では、彼らは何故、物乞いをするのでしょう?
ドイツ人の場合、ほとんどがアルコールや薬物中毒者です。
厄介なのがジプシーやローマの場合。
中にはドイツでちゃんと生活しているのに、
「お金頂戴。」
と、恥ずかしることなく堂々とドイツ語で話しかけているジプシやローマがいます。お小遣い稼ぎですので、無視すればよろしいです。
連中、窃盗も平気でしますので、近くに寄せないことが身を守る手段です。
可哀そうなのは、本当にお金に困っているローマの物乞い。故郷のルーマニアでは仕事がない。運よく仕事を見つけて働いても、学校に通っていないので読み書きができず、単純労働だけ。収入は400ユーロ/月。
一方、ミュンヘンで物乞いすれば、看板がなくても400~500ユーロ/月の収入です。13~14歳で妊娠、出産することも珍しくないローマの女性は、ドイツまで物乞いの出張にやってくるわけです。
ミュンヘンで物乞いをしていたローマの女性に、テレビ局が1年間密着取材。その故郷での生活を紹介していました。その番組で女性は、
「ミュンヘンなら1週間雨が降り続いても、まっとうな生活ができる、ここで1週間雨が降ったら、家(掘っ建て小屋)まで流されてしまう。」
と、現状を見事に描写していました。
恵んでもらった金に税金はかかるん?
最後に忘れてはならないのが税金。
ドイツで税金がかからない収入は、宝くじ、あるいはテレビのクイズ番組で勝ち取った賞金だけ。そのテレビ番組だったて、複数回出演すると、
「定期収入」
として税金がかかります。では物乞いで入った収入には、税金はかかるんでしょうか。
これが不思議なことにタックス フリーなんです。ですからマフィアが目をつけるわけです。
偽の物乞いに注意!
ドイツの街角で見かける松葉杖をもった物乞い、すべて演技です。
自宅前で来ると、松葉杖を脇下にかかえると階段をひょいひょい登っていきます。
そんな偽物乞いの常套手段が、
「泥棒にすべて盗まれた!」
という毎回同じの文句。その証拠として警察に届けた、くしゃくしゃになった盗難届を見せてきます。その日付はもう数年前、、。
あまりに見え透いた手なんですが、タイでもこの手で話しかてきたイギリス人が居ました。麻薬か酒で呂律が回っていませんでしたが。
物乞いをする日本人留学生?
中には日本人でこの方法を使用する賢い留学生も!
デユッセルドルフの中央駅、毎朝会社勤めの日本人で一杯です。これを狙って通勤時にデユッセルドルフ中央駅に行くと、
「泥棒に荷物を全部盗まれて、、。」
「日本に帰ったら絶対に帰すので。」
と、お馴染みの文句でお金をせびってくる日本人が居ます。
知人は、
「可哀そうだったので、〇〇ユーロ貸しました。」
と、息高々。でも同僚からは、
「騙されてるに決まっているでしょ!馬鹿ね!」
と言われ、
「西さんなら、信じてくれますよね!」
と、私にもとばっちり。そんなときは、
「〇〇さんは優しいでせすね~。」
と、褒めるに限ります。
夜は強盗に早変わり!
路上生活者の多くはアルコール中毒か、麻薬中毒者です。
薬が効いているうちははおとなしいですが、これが切れると見境がなくなります。とりわけ人目の届きにくい夜間は。
女性が襲われるケースも少なくありません。これが理由で、夜間の女性の一人歩きは危険です。昼間は害のないように見えるかもしれませんが、夜になると強盗、強姦に早変わりします。
私は真昼間、デュッセルドルフのシャドー通りで物乞いに襲われたことがあります。店舗の前に座っているおとなしいような物乞いが、いきなり襲い掛かってきました。
カメラがなければ返り討ちにしてやったのに、片手しか使えないので、防戦一方。周りのドイツ人は見ているだけ。トルコ人とか、意外に正義感が強いのですが、ドイツ人は
「とばっちりが来るのは御免。」
と、高みの見物。警察にも通報してくれませんでした。
このように頭がおかしい輩も交じっていますので、昼間でも油断されませんように。