ドイツの政治 ドイツ最新情報

ドイツの年金どうなる?専門委員会の提案

投稿日:

ドイツの年金どうなる?専門委員会の提案

システム崩壊の危険に直面しているドイツの年金。

しかし

「年金受給年齢を引き上げる!」」

なんて言おうものなら、選挙で負ける。

そこで政府は

“Rentenkomission”(年金委員会)

を立ち上げ、提案をまとめるように頼んだ。

そう、責任転嫁である。

この度、その提案が公表されたので紹介したい。

ドイツの年金システム 崩壊の危機

言わずもがな、ドイツの年金も

“Beiträge”(掛け金)

だけでは、年金支払いをカバーできていない。

だから税金を投入している。

日本と違うのはその規模。

実に1278億ユーロ(21超円)もの税金を、年金システムに払っている。

(2026年度の予算)

参照 : www.ifo.de

 

これはドイツの年金機構の全収入の33,3%に相当する。

一方、

「もう終わってる。」

と嘆かれる日本の年金では

年金の財源

全体の24.5%、約13兆円が税金です。

 

抜粋元 : mmea.biz

 

そう、不思議な事に日本の年金システム方が

「はるかにマシ」

なんである。

そういうこともあるんですね。

年金委員会の設置

この危機的な状況に鑑みてメルツ首相は、

年金は生活保護と考えるべし!

メルツ首相 年金は生活保護と考えるべし!

などと本音を吐露。

気持ちはわかる。

が、あと数年で年金という世代、あるいは年金世代に、

「年金は生活保護程度にしかならないよ。」

と言って、何が変わる?

当然、国民は怒ります。

物事には順序があります。

まずは国会でしっかり議論してから、国民に話すべきです。

メルツ首相の手法は逆。

「議論を有利に運びたい」

と思うあまり、まずは

「脅し」

から始めるんです。

これまで閣僚になった経験すらなく、いきなり党内人事で首相になると

「こういう人」

が登場します。

メルツ首相は世論で

「ボコボコ」

に叩かれた為、まずは年金委員会を設置して、

「専門家の意見」

を聞くことになりました。

ドイツの年金どうなる?専門委員会の提案

その”Rentenkomisshion”(年金委員会)

の提案は

  1. もっと長く働いてもらう
  2. 年金加入層を広げる
  3. 掛け金(一部)を投資して
  4. 年金機構の財政安定化を図る

というのもの。

参照 : zdfheute.de

 

以下に個々の項目について解説します。

もっと長く働いてもらう

ドイツ人の平均寿命は

  • 78,5歳(男性)
  • 83.4歳(女性)

です。

参照 : destatis.de

 

日本人よりも4年短いです。

男性も女性も。

なのに年金受給年齢は67歳。

日本は65歳なので、

ドイツ人は日本人と比較して、年金受給期間が6年短い。

 

という計算になります。

なのにドイツの年金システムは崩壊寸前。

どう考えてもおかしい。

そこで年金委員会は、受給開始年齢の段階的引き上げを提唱。

ざっくり言えば、

10年置きに半年、受給開始年齢を引き上げるべし

 

という内容。

勿論、

「来年から引き上げる!」

だと国民が卒倒するので、2032年から

「少しづつ」

引き上げて、2041年以降からは

「10年置きに受給開始年齢を半年、引き上げる。」

という内容。

最終的には年金受給年齢を70歳まで引き上げる事を目指します。

早期年金受給制度の廃止

さらに!

前信号政権が

“Rente mit 63″(63歳から減額なしの年金)

を導入した。

参照 : Rente mit 63

 

これが毎年、95億ユーロ(1兆5000億円)もかかり、ドイツの年金機構の財政を圧迫している。

年金委員会はこれを廃止するように提言している。

ドイツの年金 加入層を広げる

理由は定かではないが、ドイツの年金に加入できるのは会社員だけ。

  • 公務員
  • 自営業者
  • 政治家
  • アルバイト

加入できないとなっている。

結果、加入者が少ない。

これが日本と比べて財源がひっ迫している原因のひとつ。

そこで委員会はまずは自営業者、政治家、そしてアルバイトへの

「加入義務の導入」

を提言している。

質問
なんで公務員は例外?

 

公務員は年金がいいんです。

定年退職した公務員への年金支払いまで背負い込むと、ドイツの年金機構の支払額が飛躍的に膨らみます。

今、投入している21兆円の税金では到底、足らないです。

この為、すでに年金をもらている世代、払い込んでいる世代は、

「触らぬ神に祟りなし」

です。

新たに公務員になる世代からドイツの年金に取り組むべきと推奨。

そうそう。

もしこの提言が

「そのまま」

法律になると現行の

Mini-Job“(ドイツのアルバイト)

【必読】ドイツでアルバイトできるの? 時給は幾ら?

も年金加入が義務となり、その存在意義を失います。

ドイツの年金 掛け金の投資

日本の年金が

「ドイツよりはマシ」

な理由のひとつが、国民の掛け金を投資にまわしている事。

全体に占める割合はわずか6.3%だが、年金の資金源に貢献している。

問題はその平均収益率が平均3%台と低い事。

ノルウエーの年金ファンドは平均6.6%の収益率である。

 

たとえ日本のような

「低い収益率」

でもないよりはマシ。

そこで年金委員会は

「年金ファンド」

を創設、ドイツの年金の一部を投資するように勧めている。

問題なのはその財源。

投資に回す金をねん出するため、国民の年金掛け金を1%引き上げる。

会社が払う分も1%増。

この2%を投資に回すという。

結果、国民は毎月のお給料の手取りがさらに少なくなる。

会社の負担も増える。

これがそのまま実施されると、企業の負担が増し

「ただでも悪い景気」

を押し下げることになる。

逆提案

年金の掛け金を上げるよりもいい方法がある。

政府は毎年、リースター年金

リースター年金 って何?【ドイツの年金制度】

「無駄な補助金」

を15億ユーロも払っている。

これは銀行や保険会社のポケットに入っている。

そんな無駄な補助金を辞めて、その金を年金ファンドに払い込むべきだ。

メルツ政権の反応

世論調査で過去最低の支持率を更新、

「歴史上、最も人気のない首相」

の名を不動のものにしたメルツ首相、この年金委員会の提案を受けて、

「そのまま全部、実行に移します。」

と請け負った。

しかも

「夏休みの前に国会を通す。」

と言ってます。

賭けてもいいが、無理です。

顛末はここで紹介します。

-ドイツの政治, ドイツ最新情報

執筆者:

nishi

コメントを残す

アーカイブ