
今回はドイツの経済大臣を取り上げます。
経済不況に悩む輸出大国ドイツ。
そのドイツの経済大臣は、国防大臣並みに大事な役職だ。
なのにメルツ首相は経済のエキスパートではなく、ロビイストを大臣に任命。
そんな人事で大丈夫なの?
この記事の目次
史上最悪の経済大臣
話は2024~25年まで遡ります。
当時野党だったCDU/CSU は経済大臣だった緑の党のハーベック氏を
“der schlechteste Wirtschaftsminister aller Zeiten”(史上最悪の経済大臣)
と非難した。
何せドイツ経済は2年連続でマイナス成長。
「これは緑の党による環境経済政策のせいだ!」
と主張した。
この選挙キャンペーンは
「ゴロの良さ。」
も相まって結構、ヒットした。
右往左往の経済政策
実際、ハーベック大臣は
- “Heizungsgesetz”(暖房法)
- Förderstop Elektroautos(電動自動車購入補助金の停止)
など、いくつかの自殺点を重ねた。
が、当時のドイツ(世界)は
- コロナ渦が終わった後の急激なインフレ
- プーチンの戦争によるガス・オイル価格の上昇
という最悪の周辺環境にあった。
ドイツ製の自動車が売れなくなった最大の責任は政治家ではなく、中国人を見下していたドイツの自動車メーカーにある。
だからすべてをハーベック氏の責任にするのは、間違っている。
もっとも
「歴史上、最も優れた経済大臣」
でなかったことも確かだが。
経済大臣 を探せ!
低迷するドイツ経済を目にして
「悪いと思わなければ、景気は改善する。」
などと禅問答で対処するショルツ首相。
国民は愛想を尽かし、野党は総選挙に勝利した。
当然、国民はCDU/CSU の経済政策に期待した。
ところがである。
誕生したメルツ政権は政権内での権力争いに明け暮れた。
結果、改革案は一向に国会に出されず、
ドイツ経済はジリ貧のまま。
その新政権が誕生した際、主な大臣の顔ぶれを紹介した。
肝心要の経済大臣だが、
「やってくれ」
と頼まれた人物が
「絶対に嫌です。」
と辞退。
「ううう、それは困ったなあ。」
とメルツ首相。
すると何を考えたか首相は、過去に起訴されたこともあるロビイストのライヒェ女史を大臣に抜擢した。
ドイツ経済が落ち目のこの時期に、大臣の経験もない人物、それも
「ガス業界のロビイスト」
を大臣の要職に就ける人事が理解できない。
ライヒェ大臣の仕事ぶり
心配していた通り、ライヒェ大臣は経済省の管轄でもないのに
「年金受給年齢の引き上げるべきだ!」
と提唱、与党内で権力争いをおっぱじめた。
その一方で、肝心な景気(経済)対策は出てこない。
その代わり経済省は
「おいしい政府の補助金付きのプロジェクト」
を、次々にライヒェ大臣の旦那が関与する会社に付与。
そう、
“Vetternwirtschaft”(身内びいき)
である。
その後、大臣の海外出張(売り込み)に同行する顔ぶれがマスコニに漏れた。
これに怒ったライヒェ大臣、経済省内で
「誰がメデイアに情報を漏らした!?」
と魔女狩りが始まった。
怒りが収まらぬ大臣、経済省内で
「モグラ(裏切者)は私ではありません。」
という書類へのサインを強制。
次いで大臣は国内で行われた経済フォーラムに、公用車を使って出席。
怪しい参加者の面々が報道されると
「個人として参加した。」
と主張。
公用車で?
大臣は公用車の使用料の返還を迫られた。
挙句の果てに経済省は
「省の政策を助言するアドバイザー」
の募集を始めた。
お給料は200万ユーロ。(3億6000万円)
そもそも経済政策を考案するのは経済大臣、そして経済省の仕事である。
それを民間のロビイストに移管するというのだ。
だったら経済大臣、それに経済省はなんのためにある?
史上最悪の経済大臣を超えたライヒェ大臣
あまりのスキャンダルにCDU(党内)から、
「もう辞任して!」
との声が出始めた。
大臣の辞任要求が野党から出るのはわかる。
が、辞任要求は与党内から出ているのだ。
まあ、あの仕事ぶりでは無理もない。
結果、世論調査ではずか18%がライヒェ経済大臣の仕事ぶりに満足、67%が不満という結果がでた。
ちなみに
「史上最悪の経済大臣」
であるハーベック氏には33%が満足、64%が不満であった。
そう、
ドイツ経済の復活?
忘れてください。
そもそも
「何ら実績もないロビイスト」
をこの国の一大危機に、経済大臣に任命するメルツ首相の判断力が疑われる。
そのメルツ首相の支持率も下落を続け、過去最悪のショルツ首相よりも下落。
極右政党が第一党になっているもの、無理ない。

