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メルセデス ケレーニウス社長 最後のチャンス

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メルセデス ケレーニウス社長 最後のチャンス

メルセデス、販売台数の減少が止まらない。

中国での販売不振に加え、ケレーニス社長社長の肝いり戦略

”Luxus-Strategie”(高級車戦略)

が、見事にフロップしたのが原因だ。

メルセデスはこのまま

「ドイツの日産自動車」

になるのだろうか?

メルセデス ”Luxus-Strategie”(高級車戦略)

中国の自動車メーカーに市場占有率を奪われて、

「ジリ貧」

のドイツ車メーカー。

もっとも、指を咥えて眺めているわけではない。

劣勢を巻き返すべくVWは

”made in China for China”(中国市場向けに中国生産)

を採択。

現地の自動車メーカーと組んで、現地で部品を調達して、中国市場向けの車を生産する。

一方、メルセデスが

「起死回生の一打」

としてケレーニス社長が掲げたのが

Luxus-Strategie”(高級車戦略

だった。

メルセデスの危険な賭け 高級車戦略

戦略修正を余儀なくされる!

しかし!

案の定、高級車戦略は機能しなかった。

ライバルのBMWは、2年間落ち続けていた販売台数をプラスに転じることに成功した。

しかしメルセデスの販売台数は下落が止まらない。

 

そもそもメルセデスの

「高級車戦略」

は顧客は勿論、社員にも人気がなかった。

とりわけ社内では

“Luxus”(高級)

という言葉はタブーで

“L-Wort”(Lから始まる単語)

と言い替える程。

株価低迷と客からのブーイングで、

遂にケレーニス社長は、高級車戦略の修正を余儀なくされた。

 

 

結果、

“Luxus”

の文字はメルセデスの企業戦略から一切消えた。

代わりに

„das Besondere“(特別な物)

という言葉が登場した。

これでケレーニス社長の方針転換は、

「100%電気自動車」

に続き、2度目である。

巷では

「三度目はない。」

と言われている。

自浄機能

ドイツ企業が日本企業よりも

「優れている点」

があるとすれば、それは社内に自浄機能がある事。

例。

米国で3兆円を超える罰金を課されたドイツ銀行。

罰金を払うために、ウン回目の増資。

株価は120ユーロから7ユーロまで下落。

日本だとこういう会社は潰れます。

自浄機能がないんです。

質問
自浄機能?

 

取締役会で

「この社長じゃ駄目だ。」

と判断が下され、

「大掃除」

を任された社長が就任します。

通常は社外から。

ドイツ銀行がまさにそんなケース。

時間はかかりましたが、復活しました。

「快挙に暇がない」

のですが、もうひとつだけ例を出します。

「このままでは倒産だ!」

と国に経営参加を懇願した”Commerzbank“、立て直したのはやはり社外から来た社長だった。

日本だと日産自動車のように、社内人事で解決しようとします。

 

が、社内人事で

「会社の立て直し」

に成功する例は、あまり多くない。

原因解明

もっともメルセデスはまだそこまで行ってない。

というのもケレーニウス社長には、販売台数が低迷している理由は明白だった。

それは、

  1. 高級車戦略
  2. EQ シリーズ

だった。

そこでケレーニウス社長は

  1. しぶしぶ高級車戦略を修正
  2. EQ シリーズの前倒し廃盤

を決めた。

しかし

人気ない車を廃盤にしても、車の販売台数が伸びるわけではない。

今のメルセデスには、

「ベストセラー」

が必要だ。

デザイン一新

メルセデスの販売不振の代名詞となったEQ シリーズ。

しかし走行性能で言えば、ライバルよりも優れていた。

なのに、

「ブサイクなデザイン」

が原因で販売台数が伸びなかった。

そこでメルセデスはデザインを一新することにした。

「デザインを一新」

と言っても、ジャガーのようなデザイン一新をやると、

もうメルセデスはオワコンだ。

失敗が許されないデザイン変更で、

「滅多に失敗しないデザイン」

があります。

どんなデザインか、想像できますか?

そう、

“Back to roots.”(ルーツに戻れ!)

です。

わかりやすく言えば、

「レトロ デザイン」

です。

メルセデス 蜂の巣グリル

蜂の巣グリル

BMWと言えば、”kidny grill”(通称 豚鼻)。

じゃメルセデスは?

あれは

„Bienenwabenkühler“(ハチの巣グリル)

と呼ばれています。

発明者はメルセデスのエンジニアだったマイバッハさん。

1900年にこのハチの巣グリルが登場、以後、21世紀まで続いてきました。

 

もっともフロップした EQシリーズ では、このメルセデスの象徴がこんな形になり、

EQ シリーズ

おまけにプラスチック製。

高級感はなかったです。

蜂の巣グリル 復活

そこでメルセデスはベストセラーSUVの”GLC”で、ハチの巣グリルを復活させた。

しかもプラスチックではなく、金属製です。

今度は。

おまけに光ります。

加えて同時に

「丸みを帯びたデザイン」

も廃止。

お陰でデザインはかなり改善した。

これなら遠くからみても、

「あっ、メルセデスだ!」

ってわかりる。

残念なのはこの

「レトロデザインのGLS」

は、電気自動車という点。

ガソリン車は当分、お預け。

販売開始は2026年前半。

参照 : GLC

 

2027年には同じハチの巣グリルを搭載した、EクラスとSクラスが登場します。

何せ EQ シリーズは2026年に製造中止ですからね。

もし、

「俺はEQ シリーズが好きなんだよおお!」

という貴兄は、今後、大幅な割引を期待できます。

間違ってもヤナセの

「在庫がないので、、、」

を信用しないように。

EQ シリーズは売れないアイドルの写真集のように、山のように余ってます。

メルセデス ターンアラウンドなるか?

果たしてメルセデスはこの

「レトロデザイン」

でターンアラウンド(業績を建て直す)ことができるだろうか?

ケレーニウス社長にとっては、これが最後のチャンスだ。

もう次はない。

しかし!

いみじくもドイツで

“Die Konkurrenz schläft nicht.”(競争相手は指を咥えて待ってない)

という通り、BMWは新型電気自動車 iX3 を発表。

参照 : iX3

 

そして航続距離では

「1割」

メルセデスより長い。

メルセデスは中国の電気自動車メーカーが採用している

“Extender”

と呼ばれる

「航続距離延長の為の小型エンジン」

を積むべきだった。

これを搭載すれば、簡単に後続距離を100Km伸ばせる。

同時に高くて重い、充電池を節約できた。

果たしてメルセデスはレトロデザインで、起死回生なるか?

来年の今頃には

「最初の結果」

が出ているだろう。

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執筆者:

nishi

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